「ユリ、髪。」
甘くて低い声。私の好きな声。
キッチンから漂ういい匂い。多分、珈琲。
「ん〜?」
買ったばかりの雑誌を見ながら返事をしたら呆れたみたいにため息が聞こえた。
こら、ため息したら幸せ逃げてっちゃうんだよ。
「ん〜?じゃない、ちゃんと乾かしなさい」
「んふ、お父さんみたいだね。タキくん」
「馬鹿なこと言ってないでドライヤーもっといで」
「はぁーい」
いいお返事。なんて後ろから聞こえる。
多分彼、私のこと子供だと思ってる。
28歳。立派な成人女性。
一応会社では美人でシゴデキお姉さんで通ってる。
営業妨害ですか?やめてよね。
脱衣所に置いてあるドライヤーを掴んでリビングに戻ったらタキくんが「おかえり」っていった。
こういうところ、好き。
トイレに行くときも「気をつけてね」っていうの。
そういうちょっと変なところ、結構好き。
「はい、お客さんどうぞ」
「アイス!タキくんわかってるねぇ」
「ソレ食べながら大人しくしてて」
そういいながらソファーに腰掛けたタキくんの足の間に座り込む。
彼の長い指が私の髪を掬い取る。
肩にかけたままだったタオルで水分を取ってくれる手つきが優しくてつい頭を揺らしたら少しタオルで頭を撫でるみたいに叩かれた。
「これ美味しいね」
「そうなの?おれナッツ無理だから食べてないや」
「あ、そっか。これ私用?」
「そう。だからあと4本ぜんぶちゃんと食べてね」
「え、ねぇそんなのすぐだよ?」
「あはっ、たしかに。無くなる前にまた買っとくね」
「さすがタキくん」
アイスが食べ終わった頃にドライヤーのスイッチを入れて乾かしてくれる手つきも優しい。
声が聞こえないからさっき見てた雑誌を広げて眺める。
時折指がうなじに当たってソレが少しくすぐったい。
絶対もう乾いた!ってくらい時間が経っても、ドライヤーのスイッチを切ってもタキくんはしばらく私の髪を触る。
「きれいに伸びてきたね」
「でしょ」
「また切る?」
「んーどうかな、でもタキくんロングのほうが好きでしょ」
「うん」
「じゃあ切らない」
「すきな髪型にしていいのに」
そう言って立ち上がったタキくんは私の口に入ったままのアイスの棒を抜き取ってドライヤーを持って洗面所にいく。
途中でゴミ箱に寄り道するのも忘れずに。
だから、そんなタキくんだから。
私はあなたの好きな髪型にするんだよ。
甘くて低い声。私の好きな声。
キッチンから漂ういい匂い。多分、珈琲。
「ん〜?」
買ったばかりの雑誌を見ながら返事をしたら呆れたみたいにため息が聞こえた。
こら、ため息したら幸せ逃げてっちゃうんだよ。
「ん〜?じゃない、ちゃんと乾かしなさい」
「んふ、お父さんみたいだね。タキくん」
「馬鹿なこと言ってないでドライヤーもっといで」
「はぁーい」
いいお返事。なんて後ろから聞こえる。
多分彼、私のこと子供だと思ってる。
28歳。立派な成人女性。
一応会社では美人でシゴデキお姉さんで通ってる。
営業妨害ですか?やめてよね。
脱衣所に置いてあるドライヤーを掴んでリビングに戻ったらタキくんが「おかえり」っていった。
こういうところ、好き。
トイレに行くときも「気をつけてね」っていうの。
そういうちょっと変なところ、結構好き。
「はい、お客さんどうぞ」
「アイス!タキくんわかってるねぇ」
「ソレ食べながら大人しくしてて」
そういいながらソファーに腰掛けたタキくんの足の間に座り込む。
彼の長い指が私の髪を掬い取る。
肩にかけたままだったタオルで水分を取ってくれる手つきが優しくてつい頭を揺らしたら少しタオルで頭を撫でるみたいに叩かれた。
「これ美味しいね」
「そうなの?おれナッツ無理だから食べてないや」
「あ、そっか。これ私用?」
「そう。だからあと4本ぜんぶちゃんと食べてね」
「え、ねぇそんなのすぐだよ?」
「あはっ、たしかに。無くなる前にまた買っとくね」
「さすがタキくん」
アイスが食べ終わった頃にドライヤーのスイッチを入れて乾かしてくれる手つきも優しい。
声が聞こえないからさっき見てた雑誌を広げて眺める。
時折指がうなじに当たってソレが少しくすぐったい。
絶対もう乾いた!ってくらい時間が経っても、ドライヤーのスイッチを切ってもタキくんはしばらく私の髪を触る。
「きれいに伸びてきたね」
「でしょ」
「また切る?」
「んーどうかな、でもタキくんロングのほうが好きでしょ」
「うん」
「じゃあ切らない」
「すきな髪型にしていいのに」
そう言って立ち上がったタキくんは私の口に入ったままのアイスの棒を抜き取ってドライヤーを持って洗面所にいく。
途中でゴミ箱に寄り道するのも忘れずに。
だから、そんなタキくんだから。
私はあなたの好きな髪型にするんだよ。
