恋人と居ても明日の仕事のことを考えているとしたら、それはきっと。
もう自分の心はこの関係に飽きてしまったと、そういうことだろう。
日曜日。23時15分。
目の前には缶ビールと開けたけど食べてないポテトチップス。
特に意味もなく、無音ではさみしいからなんて理由でつけた液晶の中では美男美女の小綺麗に整えられた恋愛話が流れている。
実際の恋愛なんてもっと不誠実で汚くて、ほんの少し楽しいだけだというのに。
少なくとも私はそうだ。
ズズッ。カタカタ。
ふぅ・・・カチカチ。
少し離れたダイニングテーブルから聞こえる彼の生活音。
コーヒーを飲んだり、何かを打ち込んだり。
ため息を付いて、またパソコンを操作して。
これが日常に溶け込んでいるからわたしは別れられない。
この音がなくなったら私は独りだ。
「あや、それ面白いの?」
「わかんない。7話だってよ」
「前の話見たの?」
「1話もみてない。誰これ」
「しらないよ」
そう言って彼が立ち上がる。
仕事は終わりにしたみたい。
二人掛けのソファー。隣に彼が座って少し重みで沈む。
「あぁでも美人だね」
「女優さんだからね」
「たまにいるじゃん、顔より実力なひと」
「褒めてんだか貶してるんだか」
「褒めてるよ」
「だとしたら無自覚失礼だね」
「じゃあ他所では言わないようにしよう」
結局内容に関係ない会話をしてドラマの内容なんて殆ど理解しないまま時間だけ過ぎていく。
『もしあたしが死んだら、明日死んだら。あなたはどうする?』
きれいな女の人が綺麗に作られたセリフをきれいな男の人に言う。それがドラマ。
「だって、あやは?どうする?」
「聞くなら先に教えるのが義理じゃない?」
「どうしてほしいの?」
「知らん。好きにして」
「・・・明日死ぬってことはまあ事故か、急に発作とかそういうのでしょ?」
「自殺かもしれない」
「その可能性は今聞いたから阻止できるね」
「確かに。じゃあ二択だ」
くだらないことを適当に話せるのがリアル。
ソレが現実と作り物の違い。
現実のほうがテキトーだ。
「だからどっちにしろ想定外のことだから、まず驚くね」
「あ、そう」
「それで泣く。普通かもね。あやは?」
「私は・・・」
私は?もしこのひとが明日急に死んだら?
そしたらどうする?ちゃんと泣ける?
そんな心配をしている時点で私はダメだ。
「私は、たぶん明日も仕事に行くよ。いつも通りに」
「いつも通りに?」
「うん、泣かないと思う。私は普通に仕事をしてくる。誰にも言わないで」
「・・・あやらしいね」
冷たいねと言わなかった彼の優しさが好きだ。
でも、冷たいねと怒らなかった彼の優しさが嫌いだ。
パキリ。カサリ。
彼が隣でポテトチップスをかじる。
ドラマの男女はそっと唇を重ねる。
私は無言でビールを喉に流し込む。
私達は別れない。けれどきっとそこに恋心はない。
愛になりきれなかった恋心が壊れて置いてあるだけだ。
もう自分の心はこの関係に飽きてしまったと、そういうことだろう。
日曜日。23時15分。
目の前には缶ビールと開けたけど食べてないポテトチップス。
特に意味もなく、無音ではさみしいからなんて理由でつけた液晶の中では美男美女の小綺麗に整えられた恋愛話が流れている。
実際の恋愛なんてもっと不誠実で汚くて、ほんの少し楽しいだけだというのに。
少なくとも私はそうだ。
ズズッ。カタカタ。
ふぅ・・・カチカチ。
少し離れたダイニングテーブルから聞こえる彼の生活音。
コーヒーを飲んだり、何かを打ち込んだり。
ため息を付いて、またパソコンを操作して。
これが日常に溶け込んでいるからわたしは別れられない。
この音がなくなったら私は独りだ。
「あや、それ面白いの?」
「わかんない。7話だってよ」
「前の話見たの?」
「1話もみてない。誰これ」
「しらないよ」
そう言って彼が立ち上がる。
仕事は終わりにしたみたい。
二人掛けのソファー。隣に彼が座って少し重みで沈む。
「あぁでも美人だね」
「女優さんだからね」
「たまにいるじゃん、顔より実力なひと」
「褒めてんだか貶してるんだか」
「褒めてるよ」
「だとしたら無自覚失礼だね」
「じゃあ他所では言わないようにしよう」
結局内容に関係ない会話をしてドラマの内容なんて殆ど理解しないまま時間だけ過ぎていく。
『もしあたしが死んだら、明日死んだら。あなたはどうする?』
きれいな女の人が綺麗に作られたセリフをきれいな男の人に言う。それがドラマ。
「だって、あやは?どうする?」
「聞くなら先に教えるのが義理じゃない?」
「どうしてほしいの?」
「知らん。好きにして」
「・・・明日死ぬってことはまあ事故か、急に発作とかそういうのでしょ?」
「自殺かもしれない」
「その可能性は今聞いたから阻止できるね」
「確かに。じゃあ二択だ」
くだらないことを適当に話せるのがリアル。
ソレが現実と作り物の違い。
現実のほうがテキトーだ。
「だからどっちにしろ想定外のことだから、まず驚くね」
「あ、そう」
「それで泣く。普通かもね。あやは?」
「私は・・・」
私は?もしこのひとが明日急に死んだら?
そしたらどうする?ちゃんと泣ける?
そんな心配をしている時点で私はダメだ。
「私は、たぶん明日も仕事に行くよ。いつも通りに」
「いつも通りに?」
「うん、泣かないと思う。私は普通に仕事をしてくる。誰にも言わないで」
「・・・あやらしいね」
冷たいねと言わなかった彼の優しさが好きだ。
でも、冷たいねと怒らなかった彼の優しさが嫌いだ。
パキリ。カサリ。
彼が隣でポテトチップスをかじる。
ドラマの男女はそっと唇を重ねる。
私は無言でビールを喉に流し込む。
私達は別れない。けれどきっとそこに恋心はない。
愛になりきれなかった恋心が壊れて置いてあるだけだ。
