短編集:MJTR日記 ーロードアンドゴー!!ー

「そういや快斗、あの子はどう?」
「ん、まあ順調。あと1週間ぐらいで退院する」

 よかったぁ……。
 あたしは寮へ戻る途中で快斗にたまたま会って、そのまま近くのベンチで話し込んでいる状態。
 快斗は精神科医でもあるから、だいたいの患者さんの様子を知っているの。

 6才の女の子・歩実ちゃんは、その後手術が成功して入院したんだ。
 でも、後遺症は残っちゃった。
 ダメになった小腸の大部分を切り取ったせいで、もうトイレで用を足せるような身体じゃない。
 お腹に袋を付けていて、歩実ちゃん自身もしょんぼりしているんだよね。

「両親は、1年の懲役と運転免許剥奪の罰になった。保険も適用されないらしい」

 ……うーん……罪が軽い気がするなぁ。

「でも、歩実ちゃんは被害者なのに、とんだとばっちりだよな。しばらくの生活は苦しいだろうし、『親が懲役刑を受けた』という肩書きを一生背負って生きていかなきゃいけない。何より1年間は、親に滅多に会えないだろ。6才でそれは、すごく辛いと思う」

 ーーあ、そっか。
 罪が重ければ重いほど、歩実ちゃんも悲しい思いをするんだ。

「歩実ちゃん、大丈夫そうだった……?」
「意外と。……強いな、すごく」

 快斗は珍しく、慈しむような目でどこかを見ている。
 そんな姿に、少しだけ心がふわりとした。
 やっぱりあたし、快斗がちょっとだけ……。

「好きかも」

 となりの男子に、届かない声をかけた。

「……なにが」
「快斗のその目ー!」
「どの目だよ」

 あたしたちは軽口を叩き合って、夕方の時間を過ごしたんだ。

〜解説〜
杏&真知
「歩実ちゃんの状態のことを、永久ストーマというよ」
「ストーマは、人工排泄のこと! 大腸や小腸の損傷が激しい時には一部を切り取って、永久にストーマで生活するんですよぉ〜!」
「ほとんどの場合は小腸や大腸を安静にするため、一時的のストーマなんだけどね。あと真知ちゃん、あんまり喜ばしいことじゃないから、元気には言わないの」
「はぁい……ストーマの人はバリアフリートイレを使用するため、バリアフリートイレにはストーマの人専用の便器があるんです。なので、できるだけ皆さんは、普通のお手洗いを使いましょうね」
「何この落差」