あの日、君は黄昏空の下で微笑んだ。



 一階の教室をすべてチェックしたみのりは、同じように二階とついでに三階まで見て来てくれた優羽(ゆう)と合流する。まだ見ていない場所は体育館とグラウンドくらいだろうか。

 何度もスマホを確認したが、朔夜からの連絡はないし電話も通じない。メッセージ既読がつかないまま、もう十件以上も履歴を残してしまった。

「俺たちとすれ違っていない時点で、体育館はないと思うんだけど」

 確かに朔夜たちがあの時点で体育館に行ったのだとしたら、優羽たちバスケ部員が正面玄関にやって来た時にすれ違っていないとおかしい。

「とにかく、体育館も探しに行こ。もしかしたら閉じ込められてるのかもしれないし」

 鍵借りてくる、と優羽は一旦職員室に駆けて行った。ひとり残されたみのりは、ぎゅっと胸元でスマホを握りしめる。何度確認しても既読マークはついていない。それでも諦めきれなくて、履歴から朔夜の番号に電話をかけてみた。

「え? 嘘……っ」

 コール音が途切れずに耳元で鳴った。

 さっきまではずっと「おかけになった〜」という音声に切り替わってしまう状態だったのに、今はあの声が流れない。

「姉ちゃん、鍵借りてきたよ!」
「優羽くん! さっくんの電話、コールしてる!」
「は? マジで⁉︎ そしたら着信音を頼りに探せるんじゃ……」

 ふたりの表情が自然と笑顔になった。

「とにかく、一回体育館に行ってみよう!」
「姉ちゃんはそのまま電話鳴らしてて」 

 優羽は鍵を握り締め、みのりを置いてひとり体育館の方へと先に行ってしまった。みのりは遅れてその後ろをついて行く。中庭のある渡り廊下を抜けて十数メートル先にある体育館まで、ほぼ全速力でふたりは駆け抜けた。