僕の知る君は、嘘つきで死にたがり

昨日の投稿は、まだ消えていない。
それだけで、胸のどこかがざわつく。
安心とも不安とも違う、落ち着かない感じ。

迷った。
送らない理由なら、昨日の夜に散々考えた。

それらは朝になっても、少しも色褪せていなかった。

それでも、結局、送ることにした。
文章を考えようとして、画面を見つめる。

何度も書いては消し、消しては書く。
なのに、最後に残ったのは、いちばん出したくなかった文だった。

「昨日の投稿を見させていただきました、大丈夫ですか?」

送信。
指を離した瞬間、胃のあたりが冷える。

やってしまった、と思った。

自分が嫌っていた文章を、自分の手でなぞってしまった。
逃げだ。
そう分かっているのに、他の言葉が見つからなかった。

既読はつかない。
当然だ。

朝だし、仕事かもしれないし、もしかしたら一緒の学生かも⋯⋯しれないし。そもそも返信を期待する立場じゃない。
それでも、画面から目が離れなかった。

時間が過ぎる。
コーヒーを淹れても、味がしなかった。

テレビをつけても、音が頭を素通りする。

数時間後、通知が鳴った。

「見てくれてありがとうございます、心配もしてくれて、、」

語尾が曖昧で、句点が二つ。
そこで一度、文章が止まったことが分かる。

颯馬は、返事を考える間もなく、指を動かしていた。

「どういたしまして、何かあったら言ってくださいね?」

送信してから、強く後悔した。
まただ。

責任を取らない優しさ。何かあったらという便利な逃げ道。
なのに、彼女からの返事は早かった。

「ありがとうございます!」

短い。
でも、感嘆符がひとつ付いている。