その吐息に、猫も僕もとろけてる。〜高嶺の花の先輩には「人吸い」癖がありました〜

後藤先輩に助言を頂き、部活を終えた。
帰り道、友達の話も聞かずに僕は考えてしまう。

裏庭にいる黒猫ノワールという猫と戯れる先輩のことを……。
きっと猫に襲われている気がする。なんていうか、猫VS先輩てきなイメージがある。
だって、試合以外での先輩はのほほーんとしていて、ひらひら飛ぶ蝶をゆっくりと眺めている、そんなイメージだ。
だから猫に遊ばれて……背中によじ登ったりしているかも。


「おーい、祐平、おーい聞いているか??」
「わっ! びっくりした」
友達が僕の目の前にいたからだ。

「このまま真っ直ぐ進んでいたら電信柱の餌食になってたぞ」
そろりと上を向くと確かに、あったのは電信柱だった。右側を歩いていたと思ったらどんどん左側に逸れていたとは気づきもしなかったみたいだ。


「なーに、考えてんの」
「えっと……後藤先輩が言っていた、猫のことだよ。なんか気になっちゃって……」
一緒に帰っていたのは福岡裕太だから後藤先輩との話のことについては知っているはずなんだけど……。

「あー猫……猫っ!! 本郷先輩の話か、でも祐平が迷っていても仕方ないだろ。だいたい明日先輩を探せばいいじゃないか」
「そ、そうだよね……」


「ていうかやっぱり祐平は本郷先輩のこと好きなんじゃないか!! うりうり、この女心め!」
「ひど! 美少年もそうだけど、裕太って僕のことそんな目で見ていたの?」
入学式の時、面と向かって「美少年!!」と大きな声で言われてからは、裕太を警戒していたが、部活も一緒だし、帰り道だってこうして一緒だから。何かと連むことも増え、今はかけがえのない友達だ。


「えー祐平って先輩のこと好きなんだ」
後ろでスマホゲームに楽しいんでいた友達も参加してきた。

「だから! 違うってば。気になるっていうか……そのバスケもかっこいいし」

「いやぁー隅に置けないね、清い心に俺は感動しているよ」
……ああ言えばこう言う。納得したような顔で二人はまたゲームに戻った。


「そういえば、ねぇちゃんが持ってた漫画に男同士の恋物語あった気がする、今度持ってきてやる」
「だーかーら、違うってば!!!!」
僕の叫びは、暮れなずむ空へ淡く霧散していった。





結局、翌日には机の上にその漫画が置かれていた。