「推し」の待ち受け画面をご本人に見られました

「今日も鷲宮先輩見れたな〜最近でいちばんかっこよかったかも……なんちゃって」



同じ鷲宮先輩推しの女子、神原苺夏(まいか)が撮った先輩の写真の待ち受けを開き、今日もカメラロールの鷲宮先輩アルバムを開く。

俺の誰にも言えない推しは同じ中高一貫高校の2年生の先輩、鷲宮律(わしみやりつ)

このアルバムに入っている写真は神原が全部いろいろな手を使って仕入れたもの。中には言わないで撮ったものもあるから、誰にも言えない。

初めて見たのは中学2年生の春、部活見学の時。

何となくふらふらいろんな部活を見て回っていた時にバスケットボール部のキャプテンをしていた鷲宮先輩を見つけた。

バスケをしているから高身長なのか、高身長だからバスケをしているのか、とにかくスタイルと顔面が良すぎる先輩に俺は釘付けだった。

その時から、密かに推し始めている。



「あ、返信きた。」

『なるくんだけ見れたの、ほんとずるい。』

「今日見れたのは俺だけかーごめんなぁ。神原」



神原に鷲宮先輩目撃自慢をすると、見れなかった神原から悔しみの返信が来た。俺だけが見れた優越感に浸り、鷲宮先輩の待ち受けをもう一度見てから、試験勉強に取り掛かった。






「おっはよー!なるくん!」

神原(かんばら)、おはよう」



進級から少しして、気温が上がり始めた頃、俺の数少ない友達兼オタク仲間の神原が眉毛を下げてやってきた。



「ちょっと聞いてよ!最近全然学校で鷲宮先輩見ないんだけどお!」

「えっ…」

「ちょ、そんな青ざめないで!」

「だって、鷲宮先輩は俺の生きがいで、鷲宮先輩がいるから学校に行くわけだし、推しがいない世界線なんて想像したくないし…」

「ストップ!ストップ!落ち込みすぎ!わたしは、なるくんが鷲宮強火担なのは知ってるからいいけど、誰かに見られたらどうするの!」

「でも…」

「だ、大丈夫だよ!中間試験前で勉強してるかもでしょ!」

「そっか…」

「あ、次移動教室だから!じゃあね!」



神原はバタバタと走って自分の教室に戻って行った。

 今日一日、あんまいいことなさそう…

朝から肩を落として1日が始まった。

 それにしても、鷲宮先輩が学校来てないとかありえない…



神原の情報によるとバスケ部キャプテンだった鷲宮先輩はまずほとんど体調を崩さないし、試験前でも試合前でも絶対に学校には来ていたらしい。噂か事実か、微熱なのにおでこに冷却シートを貼ったまま試験を受けに来たという伝説まである。


そんな鷲宮先輩が来ないのは先輩推しにとっては緊急事態…。

あとで部活の高2に聞いてみようかな。