「推し」の待ち受け画面をご本人に見られました

文化祭当日。

いつも生徒と教師しかいない敷地は大勢の人で溢れかえっていた。

一方、午前中からシフトがある俺はメイド喫茶と化した教室に朝から張り付いていた。



「いや〜今年も賑わってますね〜」

「そうだなー今年こそ、彼女作るぞー!」

「そんな格好じゃ女の子誰も寄ってこないよ」

「神原ーー?次それいったら許さないからな?!」

「メイド喫茶やるって行ったの誰ですかー?」



神原と要も完全に文化祭モードになって接客準備をしている。

神原はカメラマン、要は黒のメイドを身に(まと)い、2人で言い合いをしている。

ちょうどその時、更衣室になっている隣の教室からメイド服、ではなく、タキシードを着た鷲宮先輩が出てきた。



「…………」

「なんか変か?」

「………似合いすぎてて言葉が出ません」

「そうか、良かった。」



とてつもなくタキシードが似合っている鷲宮先輩にときめきそうになった。



 これ、俺が女子なら完全に落ちてるな。

細長い足を黒のスラックスに収め、シワひとつないシャツとジャケットを羽織り、無地のネクタイをきっちりしめた鷲宮先輩は本当にどこかのモデルをやってるみたいだ。

鷲宮先輩も神原と要のところに行って接客準備を始めた。



「はわわわわわ」



神原も俺同様、言葉が出なくて両手が行き場をなくしていた。

鷲宮強火担として、タキシードの先輩の姿は眩しすぎる。

というか、先輩を推していなくても、きっとこの姿を見たら誰でもこうなる。



「鷲宮先輩、いい看板アイドルになりそうだね。」

「このメイド喫茶に来る9割が先輩目当てでしょ。」

「だな。」



これ以上鷲宮先輩推しが増えないといいけど…



無謀な不安を胸に、最初のお客さんの対応を始めた。