「推し」の待ち受け画面をご本人に見られました

「成瀬ってさ、推しとかいないの?」

「推し?」

「アイドルとか、キャラクターとか」

「あー…いないかな…」



高校1年生に進級した初日。今、出席番号順で後ろの席になった新原要(にいはらよう)に話しかけられている。というか、絡まれている。

人と話すのが苦手な俺にとって、誰にでも話しかける要は、ありがたくもあり一緒にいて少し疲れる。



「えーー誰かいるでしょ、この前の連ドラの主演とかは?」

「別に…」



推し、すなわち、アイドル、キャラクター、俳優、インフルエンサーなど、自分が精一杯応援したいものを指す。

成瀬遥斗(なるせはると)、高校1年生。俺には誰にも言えない推しがいる。



「あ、鷲宮(わしみや)先輩……」


不意に廊下を通った高身長の生徒に目線を向けた。


「誰って?」

「いやっ何でもない!そういえば、新原の推しって、どんな人」



絶対にばれちゃいけない。

自分に言い聞かせながら、新原の推しの話に話を戻した。



「俺?俺の推しは、月見坂47のきららちゃん!笑った時が1番可愛くて、小柄で守ってあげたくなるっていうか……成瀬、聞いてる?」

「あ、うん、ごめん背が高くてイケメンだっけ?」



完全に聞いていなかった。

「もーー優等生成瀬くんはお家でお勉強でもしててください〜」

要の話を聞き流しながら俺は帰り支度を始めた。