被害者Aの母の証言
「あんな女などおよしなさいと、私は息子に言ったんですよ。それなのに、すっかり、のぼせあがってしまって。ああ、嘆かわしい。あの女は藪の中に捨てられていたって話じゃないですか。おそらく、高級娼婦が産み捨てたんですよ。そうに決まってますとも。だって、捨て子のぶんざいで綺麗な絹の布にくるまれていたって話ですものね。うちの息子は育ちが良くて世間知らずなものだから、あの女にすっかり騙されてしまったのですわ。色々と貢いだようですわよ。我が家はお金なら捨てるほどありますから、それに関してはどうでもいいのでございます。問題は、あの女が、他に複数の男を誘惑していた事なんですよ。ああ、憎らしいわ。一体、何様のつもりなのかしら。息子も、あれ以来、すっかり懲りておりますのよ。どうやら、あの女に誑かされた男の一人が死んだそうですわ。あの女は行方不明。みんなで探したのに見付かりません。一体、どこに潜んでいるのやら。お役人さん、早く、あの女を捕まえ下さいよ! あんな女、縛り首にしてやるべきですわ!」
被害者Bの親友の証言
「オレの親友のBは稀代の女たらしだった。既婚の女も、身分の高い女も、流し目が得意なBに耳元で囁かれたらイチコロだ。どんなお堅い女も股を開くぜ。おっと、下品な言い方をしてすまないね。でも、それが現実なのさ。Bは家に忍び込んで、甘い台詞を連発して口説くことを得意としていた。暗闇の中、Bに見つめられると女どもはトロンと目を潤ませる。女なんてちょろいもんだとBは余裕をかましていた。何しろ、Bは大金持ちでイケメンで歌も上手いときている。それなのに、あの女は、いつもBの事を追い払おうとしていた。どんな美辞麗句を囁かれようとも能面みたいな顔をしていた。そんなお堅い女のツンツンした態度にBは惹かれた。あの女は結婚なんかしたくないと言い続けていた。Bの接吻も拒否して顔を背ける有様さ。そういう素っ気無い扱いをされると、Bみたいなイケメンは、俄然、燃えるんだよなぁ。落としてやるってムキになった。でも、オレは忠告した。あの女は美人だが気味悪いからやめておけってな。何しろ、喜怒哀楽がない。結婚詐欺師と聞いて納得したぜ。国外に逃亡した可能性もあるんだよな? 今頃、余所の国の男をたぶらかせている可能性は高いな」
霊媒師の老婆の証言



