最悪の出会いが恋に変わるとき


 今日俺は、初めて転校先の白陵高校に登校した。
 いくら肝っ玉が座っている俺でも、さすがに転校は緊張する。柄になく昨晩は眠りが浅かった。
「こんな時期に転校したら、変な奴だって思われるだろうなぁ」
 ポツリと本音を吐露した瞬間、思わず「ダセェ」と吹き出してしまう。自分ってこんなにも根性がなかったんだと可笑しくなってきてしまった。
 そんな俺を出迎えてくれたのが、母親の友人である担任の先生と、The優等生という風貌の男子生徒だった。
(こんな優等生、令和の時代にもいたんだ……)
 俺は彼を見た瞬間、興味が湧いてきてしまう。
 その優等生の名前は七瀬律。
 外見は俺と全く正反対だ。いつもの俺なら「気が合わなそうだな」と距離を置くところだけれど、俺は彼に強い関心を抱いてしまう。


 まず俺の外見を見て、わかりやすく嫌そうな顔をした。普通そんなにも顔に出したら失礼だろう? と言いたくなったけれど、不思議と怒りは湧いてこない。
 それから転校の理由を聞いたときの律の反応は、本当に面白かった。『鳩が豆鉄砲を食らう』とは、まさにあんな表情のことを言うのだろう。
 目まぐるしく変わる律の表情が、見ていて堪らなく楽しい。それになんでだろう……。そんな律の反応が可愛いなって思えてくる。
 俺の外見や行動に目を見開いたり、開いた口が塞がらなくなったり、見ていて本当に飽きない。それでも、一生懸命校内を案内してくれた。
「律、明日からよろしくね」
 と声をかけると、明らかに表情が硬くなる。それがまた、可愛らしいし面白い。


「楽しい学校生活になりそうだな」
 俺は自然と鼻歌を歌いながら、家路についたのだった。