「来たぞ…!」
そう、ついに文化祭の季節がやってきました!
我が日谷高校は10月に文化祭が開催される。俺たちはその準備を行うのだ。
クラスの出し物の決定から教室の装飾、服の準備などなど…。
やることがたくさんあるのだ。時間もお金もかけたからこそ、最高の文化祭ができるのだが。
「今日は文化祭実行委員を決めます」
先生がそう言った。みんなの表情はいつもより明るく輝いている。
「それって何人ですか?」
七瀬が質問した。すると、先生は手元の資料をチラッと確認して、
「一人から二人です」
と言った。七瀬は俺の方をチラリと見て、ニコッと笑った。
蘇る二日前の記憶…
『ここの文化祭ってどんな感じなの?体育祭は来て文化祭は見てないからさ』
突然、七瀬にそう聞かれた。俺は、
『各クラスから実行委員を二人くらい出して盛り上げる感じかな。普通に楽しい』
そう言うと、七瀬は、
『文化祭実行委員を一緒にやらない?!』
と満面の笑みで聞いてきた。俺は正直あんまり行事に関わりたくない派だったが、この一言で火がついた。全力で楽しい文化祭にしてやる…と。そして、俺は七瀬の手をがっちり握って、
『おう!やろう!』
と言ってしまったのだった。
(なんであんなことを……)
調子に乗りすぎた。
七瀬と二人で実行委員とか、地獄を見る気がしてならない。
「先生!俺たち二人でやります!」
七瀬がそう言った。すると、みんなはざわざわとし始める。
「あの無気力だった王子が…!」
「王子×キングコンビで実行委員だと…?!」
「きゃーっ」
「神の組み合わせ!!!」
女子たちがぎゃあぎゃあと騒ぎ始めた。先生は、頷いて、
「二人にお任せします」
と言った。そして、
「後で生徒会に来てほしいそうです」
と言われた。俺たちは授業後、生徒会室に向かった。初めて生徒会室に入る。今まで選ばれたものだけの区域だったのだから。
「こんにちは」
生徒会室には会長が椅子に座っていた。俺たちが来るのを待っているようだった。
「すみません、遅れて」
そう言って俺が頭を下げると、七瀬も頭を下げた。会長は遅れたことに対して何も言わずに、本題に入った。
「文化祭実行委員を担当するらしいね」
そう言われて俺たちは頷く。すると、会長が目を鋭く光らせた。
「今年はイケメンたちによるステージの披露をやるつもりなんだけど…、出るかい?その後には校内投票も行うよ」
そう言われて俺は、驚く。イケメンたちにによるステージなんて去年はなかったからだ。おそらく、その前もなかったのだろう。七瀬は困惑の表情だ。
「どうして俺たちなんですか?」
俺が聞くと、会長はイラッとした顔をして、
「お前たちさ、自分たちの見た目がかっこいいって分かってないわけ?イケメンだから出てもらうに決まってんだろクソが」
突然の暴言に驚いていると、
「その顔で自分はイケメンじゃないですって顔でこっち見られるとイラつくんだわ」
と言った。確かに逆の立場が俺だったらものすごくイラつく。
俺がぺこりと一礼すると、会長はなにごともなかったかのようにはなしをし始めた。
「…てな感じで、ステージに出てもらうから」
そう言われて俺は驚く。拒否権などないのだろうか。
「もし、イケメン投票で一位だったら、ギフトカード一万円分あげるけど…どうかな?」
会長にそう聞かれて、俺はすぐに、
「やります!」
と答える。会長がキングは?と聞くと、
「俺もやります」
と答えた。かくして、俺たちの出場が決まった。
生徒会室を出て、教室に戻ろうとすると、七瀬が腕を引っ張ってきた。俺は何だよと振り向く。その顔は困惑でいっぱいだった。
「もし、さっきのステージに出たらどちらが上か決まるじゃん…」
と言われた。確かに、よく考えると、あれは俺と七瀬のどちらかが選ばれるだろう。俺は、まずいと思った。
「よっし!負けないからな!学校一イケメンの座は俺のものだ!」
俺がそう言うと、七瀬は、
「違うよ!」
と大声を出した。突然の大声だったので、俺はビクッとなる。七瀬の顔をおそるおそる見ると、苦しさでいっぱいだった。
「大丈夫?何が違うんだよ…?」
俺がそう聞くと、七瀬はグッと何かを堪えている。しかし、七瀬の口はゆっくりと言葉を発し始める。
「これでグランプリが決まったら、俺たちの関係が終わるじゃん…」
俺たちの関係?
俺は交換日記のことだと察する。七瀬は本当に辛そうだ。すると、七瀬がスタスタと俺に近づいてくる。七瀬の手が俺の髪の毛に触れる。
(んん…?!?!)
俺の頭の中はパニックだ。
今、七瀬に壁ドンされている…?この俺が…?
俺が動けなくなっているのを察したのか、七瀬はすっと離れていった。
「七瀬…」
俺が名前を呼ぶが、七瀬は振り返らない。いつもはキラキラと輝いているその表情は暗かった。
(やっちまったかもなぁ……)
俺はそこで初めてよくないことを言ったのがわかる。
俺は後で謝ることを決心した。
その日から七瀬は俺に話しかけなくなった。俺が声をかけようとすると、その場を離れていく。もちろん、交換日記もやっていない。あのファミレスにも行っていない。
実行委員が一緒なのにこんな感じで大丈夫なのだろうか。しかし、この俺には心配している暇がなかった。
「はい、じゃあ、クラスの出し物を決めます」
今日中にクラスの出し物を決定して、計画書を完成させて、次の実行委員会議で話さなければならないのだ。
俺が話し合いを仕切っているなか、七瀬は黒板を書いていた。俺たちの間にはまだ気まずい空気が流れている。
「何がいいか言ってください」
「お化け屋敷〜」
「メイドカフェ」
「男女逆転型メイドカフェ」
「動物カフェ」
七瀬はみんなの意見を全て綺麗な字で書いている。俺は七瀬が書いているのを確認して意見を聞く。
一通り出たので多数決を行うことにした。
「多数決の結果、クラスの出し物はメイドカフェに決まりました」
俺がそう言うと、みんなの反応が大きく別れた。メイドカフェをやりたくて手を挙げた人と、やりたくない人だ。
すると、七瀬がずいっと出てきて、
「俺、執事やるから楽しみにしててねー⭐︎」
と言った。すると、文句を言っていた人たちは全員静かになり、
「怜くんの執事姿……」
「みたい!見たいに決まってるだろおおぉぉぉぉ!」
と女子も男子も揃って騒ぎ始めた。その後の話し合いはものすごくスムーズに進んだ。
「実行委員ー」
話しかけられ、俺は急ぐ。おそらく、準備のことで質問があるのだろう。文化祭まで後三日。
俺のクラスの出し物は完成度がすごく高くなりそうだ。
一方で、暗い空気を撒き散らしている七瀬もいた。
女子から声をかけられると、すぐに笑顔になるのに。
「七瀬ーっ」
俺は用が済んだので、七瀬に駆け寄る。七瀬は困惑の表情を浮かべていた。
(俺が何かしたのかな……)
そう思いつつも、
「今日、あのファミレス行かね?」
と言った。俺は七瀬と話していない間、日記帳を書き溜めていた。いろいろな場面をたくさん書いていた。いつか、七瀬とファミレスに行くときに必要だろうと思って。
「どうして…」
七瀬がそう呟いた。でも俺は、七瀬の瞳をしっかり捉えて、
「俺が行きたい」
と言った。すると、七瀬は目を見開いた。その目はかすかに輝いている。俺はニッと笑う。
「行く」
七瀬がそう言ったので、俺は七瀬の腕を掴んで、ファミレスまで一緒に行った。俺はファミレスに着いたら、俺がなんかしたならごめんということを決心した。
「これ。書き溜めてたから見てほしい」
そう言ってノートを見せると、七瀬はにこにこの笑顔でそれを受け取ってくれた。すると、ぱらぱらとページを捲り始める。俺は、その様子を確認する。そして、
「俺、七瀬になんかしたかな…?」
そう聞くと、七瀬の動きが止まる。七瀬の顔には驚きがあった。俺は七瀬を見つめる。すると、七瀬は
「…文化祭でどっちがイケメンが決まったら、もうこの関係も終わりなの…?」
七瀬がそう聞いてきて、今度は俺が驚く。
「文化祭が終わっても、こうやってファミレスに来たいなぁ」
七瀬が目元を光らせながらそう言う。俺にとって七瀬とファミレスに来るのは、もう当たり前のようだった。だから、やめるとかは一切考えていない。
「…やめないよ」
俺がそう言うと、七瀬はパッと顔を上げる。
「俺にとってほぼほぼ当たり前になっちゃってるから」
そう言うと、七瀬は頬を緩ませた。久しぶりに七瀬の笑顔を見た気がする。明るくて、眩しい笑顔だ。
「じゃあ、これからも交換日記できる…?」
そう聞かれて俺はこくんと頷く。初期の頃はそう聞かれたとき、絶対に嫌だと言うはずだ。でも今は、快く引き受けられる。俺の中で七瀬の存在がどんどん大きくなっていっているのがわかる。
(七瀬……)
正直、前に七瀬に髪の毛を触られたときも、少しドキッとしてしまった。でもそれを隠そうとする自分がいる。
(文化祭は負けないからな……)
ノートを開いて読んでいる七瀬を見つめてそう言う。心の中で。
文化祭の学校一イケメンを決定するステージでは絶対に負けていられないのだ。どうしても勝ちたい。今まで放課後や家でダンスの練習をしたのもあるし…。
「陸上でタイム縮めたんだ!すごいね!」
七瀬が俺のノートを指差しながらそう言う。俺は、ニッと笑って見せる。
「すごいだろ」
そう言うと、七瀬も笑って、
「すごいよ!本当にすごい!」
と言ってくれた。俺は嬉しくてたまらなかった。こうやって自分の頑張りを誰かに認めてもらったのが久しぶりだからだ。
「累ってもうすぐ大会だよね…?」
俺はそう聞かれて頷く。文化祭が終わってすぐに大会が控えているのだ。俺は短距離に出場する予定だ。
「応援に行っていい?」
そう聞かれて俺は驚く。わざわざ俺のために応援に来てくれた人なんて女子しかいなかったからだ。俺は七瀬が来ると思うとやる気が湧いてくる。
「おうよ!」
俺がそう言うと、七瀬は満面の笑みを見せた。
さぁ、もうすぐ文化祭。
この学校のイケメンは誰に決まるのか……?!
そう、ついに文化祭の季節がやってきました!
我が日谷高校は10月に文化祭が開催される。俺たちはその準備を行うのだ。
クラスの出し物の決定から教室の装飾、服の準備などなど…。
やることがたくさんあるのだ。時間もお金もかけたからこそ、最高の文化祭ができるのだが。
「今日は文化祭実行委員を決めます」
先生がそう言った。みんなの表情はいつもより明るく輝いている。
「それって何人ですか?」
七瀬が質問した。すると、先生は手元の資料をチラッと確認して、
「一人から二人です」
と言った。七瀬は俺の方をチラリと見て、ニコッと笑った。
蘇る二日前の記憶…
『ここの文化祭ってどんな感じなの?体育祭は来て文化祭は見てないからさ』
突然、七瀬にそう聞かれた。俺は、
『各クラスから実行委員を二人くらい出して盛り上げる感じかな。普通に楽しい』
そう言うと、七瀬は、
『文化祭実行委員を一緒にやらない?!』
と満面の笑みで聞いてきた。俺は正直あんまり行事に関わりたくない派だったが、この一言で火がついた。全力で楽しい文化祭にしてやる…と。そして、俺は七瀬の手をがっちり握って、
『おう!やろう!』
と言ってしまったのだった。
(なんであんなことを……)
調子に乗りすぎた。
七瀬と二人で実行委員とか、地獄を見る気がしてならない。
「先生!俺たち二人でやります!」
七瀬がそう言った。すると、みんなはざわざわとし始める。
「あの無気力だった王子が…!」
「王子×キングコンビで実行委員だと…?!」
「きゃーっ」
「神の組み合わせ!!!」
女子たちがぎゃあぎゃあと騒ぎ始めた。先生は、頷いて、
「二人にお任せします」
と言った。そして、
「後で生徒会に来てほしいそうです」
と言われた。俺たちは授業後、生徒会室に向かった。初めて生徒会室に入る。今まで選ばれたものだけの区域だったのだから。
「こんにちは」
生徒会室には会長が椅子に座っていた。俺たちが来るのを待っているようだった。
「すみません、遅れて」
そう言って俺が頭を下げると、七瀬も頭を下げた。会長は遅れたことに対して何も言わずに、本題に入った。
「文化祭実行委員を担当するらしいね」
そう言われて俺たちは頷く。すると、会長が目を鋭く光らせた。
「今年はイケメンたちによるステージの披露をやるつもりなんだけど…、出るかい?その後には校内投票も行うよ」
そう言われて俺は、驚く。イケメンたちにによるステージなんて去年はなかったからだ。おそらく、その前もなかったのだろう。七瀬は困惑の表情だ。
「どうして俺たちなんですか?」
俺が聞くと、会長はイラッとした顔をして、
「お前たちさ、自分たちの見た目がかっこいいって分かってないわけ?イケメンだから出てもらうに決まってんだろクソが」
突然の暴言に驚いていると、
「その顔で自分はイケメンじゃないですって顔でこっち見られるとイラつくんだわ」
と言った。確かに逆の立場が俺だったらものすごくイラつく。
俺がぺこりと一礼すると、会長はなにごともなかったかのようにはなしをし始めた。
「…てな感じで、ステージに出てもらうから」
そう言われて俺は驚く。拒否権などないのだろうか。
「もし、イケメン投票で一位だったら、ギフトカード一万円分あげるけど…どうかな?」
会長にそう聞かれて、俺はすぐに、
「やります!」
と答える。会長がキングは?と聞くと、
「俺もやります」
と答えた。かくして、俺たちの出場が決まった。
生徒会室を出て、教室に戻ろうとすると、七瀬が腕を引っ張ってきた。俺は何だよと振り向く。その顔は困惑でいっぱいだった。
「もし、さっきのステージに出たらどちらが上か決まるじゃん…」
と言われた。確かに、よく考えると、あれは俺と七瀬のどちらかが選ばれるだろう。俺は、まずいと思った。
「よっし!負けないからな!学校一イケメンの座は俺のものだ!」
俺がそう言うと、七瀬は、
「違うよ!」
と大声を出した。突然の大声だったので、俺はビクッとなる。七瀬の顔をおそるおそる見ると、苦しさでいっぱいだった。
「大丈夫?何が違うんだよ…?」
俺がそう聞くと、七瀬はグッと何かを堪えている。しかし、七瀬の口はゆっくりと言葉を発し始める。
「これでグランプリが決まったら、俺たちの関係が終わるじゃん…」
俺たちの関係?
俺は交換日記のことだと察する。七瀬は本当に辛そうだ。すると、七瀬がスタスタと俺に近づいてくる。七瀬の手が俺の髪の毛に触れる。
(んん…?!?!)
俺の頭の中はパニックだ。
今、七瀬に壁ドンされている…?この俺が…?
俺が動けなくなっているのを察したのか、七瀬はすっと離れていった。
「七瀬…」
俺が名前を呼ぶが、七瀬は振り返らない。いつもはキラキラと輝いているその表情は暗かった。
(やっちまったかもなぁ……)
俺はそこで初めてよくないことを言ったのがわかる。
俺は後で謝ることを決心した。
その日から七瀬は俺に話しかけなくなった。俺が声をかけようとすると、その場を離れていく。もちろん、交換日記もやっていない。あのファミレスにも行っていない。
実行委員が一緒なのにこんな感じで大丈夫なのだろうか。しかし、この俺には心配している暇がなかった。
「はい、じゃあ、クラスの出し物を決めます」
今日中にクラスの出し物を決定して、計画書を完成させて、次の実行委員会議で話さなければならないのだ。
俺が話し合いを仕切っているなか、七瀬は黒板を書いていた。俺たちの間にはまだ気まずい空気が流れている。
「何がいいか言ってください」
「お化け屋敷〜」
「メイドカフェ」
「男女逆転型メイドカフェ」
「動物カフェ」
七瀬はみんなの意見を全て綺麗な字で書いている。俺は七瀬が書いているのを確認して意見を聞く。
一通り出たので多数決を行うことにした。
「多数決の結果、クラスの出し物はメイドカフェに決まりました」
俺がそう言うと、みんなの反応が大きく別れた。メイドカフェをやりたくて手を挙げた人と、やりたくない人だ。
すると、七瀬がずいっと出てきて、
「俺、執事やるから楽しみにしててねー⭐︎」
と言った。すると、文句を言っていた人たちは全員静かになり、
「怜くんの執事姿……」
「みたい!見たいに決まってるだろおおぉぉぉぉ!」
と女子も男子も揃って騒ぎ始めた。その後の話し合いはものすごくスムーズに進んだ。
「実行委員ー」
話しかけられ、俺は急ぐ。おそらく、準備のことで質問があるのだろう。文化祭まで後三日。
俺のクラスの出し物は完成度がすごく高くなりそうだ。
一方で、暗い空気を撒き散らしている七瀬もいた。
女子から声をかけられると、すぐに笑顔になるのに。
「七瀬ーっ」
俺は用が済んだので、七瀬に駆け寄る。七瀬は困惑の表情を浮かべていた。
(俺が何かしたのかな……)
そう思いつつも、
「今日、あのファミレス行かね?」
と言った。俺は七瀬と話していない間、日記帳を書き溜めていた。いろいろな場面をたくさん書いていた。いつか、七瀬とファミレスに行くときに必要だろうと思って。
「どうして…」
七瀬がそう呟いた。でも俺は、七瀬の瞳をしっかり捉えて、
「俺が行きたい」
と言った。すると、七瀬は目を見開いた。その目はかすかに輝いている。俺はニッと笑う。
「行く」
七瀬がそう言ったので、俺は七瀬の腕を掴んで、ファミレスまで一緒に行った。俺はファミレスに着いたら、俺がなんかしたならごめんということを決心した。
「これ。書き溜めてたから見てほしい」
そう言ってノートを見せると、七瀬はにこにこの笑顔でそれを受け取ってくれた。すると、ぱらぱらとページを捲り始める。俺は、その様子を確認する。そして、
「俺、七瀬になんかしたかな…?」
そう聞くと、七瀬の動きが止まる。七瀬の顔には驚きがあった。俺は七瀬を見つめる。すると、七瀬は
「…文化祭でどっちがイケメンが決まったら、もうこの関係も終わりなの…?」
七瀬がそう聞いてきて、今度は俺が驚く。
「文化祭が終わっても、こうやってファミレスに来たいなぁ」
七瀬が目元を光らせながらそう言う。俺にとって七瀬とファミレスに来るのは、もう当たり前のようだった。だから、やめるとかは一切考えていない。
「…やめないよ」
俺がそう言うと、七瀬はパッと顔を上げる。
「俺にとってほぼほぼ当たり前になっちゃってるから」
そう言うと、七瀬は頬を緩ませた。久しぶりに七瀬の笑顔を見た気がする。明るくて、眩しい笑顔だ。
「じゃあ、これからも交換日記できる…?」
そう聞かれて俺はこくんと頷く。初期の頃はそう聞かれたとき、絶対に嫌だと言うはずだ。でも今は、快く引き受けられる。俺の中で七瀬の存在がどんどん大きくなっていっているのがわかる。
(七瀬……)
正直、前に七瀬に髪の毛を触られたときも、少しドキッとしてしまった。でもそれを隠そうとする自分がいる。
(文化祭は負けないからな……)
ノートを開いて読んでいる七瀬を見つめてそう言う。心の中で。
文化祭の学校一イケメンを決定するステージでは絶対に負けていられないのだ。どうしても勝ちたい。今まで放課後や家でダンスの練習をしたのもあるし…。
「陸上でタイム縮めたんだ!すごいね!」
七瀬が俺のノートを指差しながらそう言う。俺は、ニッと笑って見せる。
「すごいだろ」
そう言うと、七瀬も笑って、
「すごいよ!本当にすごい!」
と言ってくれた。俺は嬉しくてたまらなかった。こうやって自分の頑張りを誰かに認めてもらったのが久しぶりだからだ。
「累ってもうすぐ大会だよね…?」
俺はそう聞かれて頷く。文化祭が終わってすぐに大会が控えているのだ。俺は短距離に出場する予定だ。
「応援に行っていい?」
そう聞かれて俺は驚く。わざわざ俺のために応援に来てくれた人なんて女子しかいなかったからだ。俺は七瀬が来ると思うとやる気が湧いてくる。
「おうよ!」
俺がそう言うと、七瀬は満面の笑みを見せた。
さぁ、もうすぐ文化祭。
この学校のイケメンは誰に決まるのか……?!



