天国までの記憶列車

 「もし生まれ変わったら、俺はあんたとも友だちになりたいって思ってるからな」

 終灯列車から降りるとき、俺は振り返ってこちらを見送る車掌に告げた。

 「……え」

 「嘘じゃねえよ。これで永遠の別れなんて寂しいだろ」

 まさか死者からそんなことを言われるとは思わなかったのか、車掌はどこか茫然とした様子で硬直していた。その顔があまりに人間臭くて、つい吹き出してしまう。

 俺はろくな人間じゃなかった。他人からしてみたら、それこそくそみたいな人生だっただろう。救う価値もないと思われたって、致し方ないくらいの。

 だが、車掌もクロも、そんな俺を見捨てなかった。

 それだけで俺は救われたのだと、どうしても伝えておきたかった。

 「じゃあまたな」

 「……は、い。……また」

 ぎこちなくはあったが、うなずいてくれた車掌に笑って、俺は列車を降りた。

 また、と。いつかを背負って歩いていけるのは、とても恵まれたことだ。

 一歩大きく足を踏み出しながら、俺はしっかりと顔を上げて、前を見据えた。

 いまなら立ち止まらずに、どこまでも進んでいけるような気がした。