死者にとっては一度きりでも、実際のところ、そうではない場合もあるのだ。 人が人を想う奇蹟は、ときに思いがけない変化を生むこともある。 世界はいつも、揺蕩うに変わっていくものだから。 よくも、悪くも、幸せな変化とは限らない。ゆえに、せめて死者たちにとっては幸福の満ちる道行となるように、車掌は送り出すたびに祈り、願うのだ。 スターチスの花を手に、香りを吸いこむ。 「――さあ、仕事だ」