金木犀の恋歌


『彩華ちゃん、久しぶり。
歌い手になるって夢を叶えたんだね。
この歌を聴いて、君も同じ気持ちだったって
知れて嬉しかった。
あの時伝えられなかったけど、
僕も彩華ちゃんのことが好きでした。』

その先に綴られていたのは……。
『金木犀のペガサスより』

鼻がツーンとして、涙が視界を覆う。

間違いない。
これは天馬からのメッセージだ。

金木犀の香りの貴方。

あたしの歌が、想いが天馬に届いていた。
その事実が何よりも嬉しくて。

あれから、天馬のことを忘れたことは
一度もなかった。
金木犀の咲く季節が訪れるたび
思い出すのは天馬の笑顔。

理由も聞かないで天馬から離れたあたしは
大馬鹿者だった。
優しい天馬のことだから
何か理由があったはずなのに。

謝りたくて、想いを伝えたくて
『金木犀の恋歌』を作った。

忘れられない貴方を想って歌い続けた。

やっと、あたしのラブレターが貴方に届いたんだ。

だから、もう1度やり直させて。

キーボードを叩き、エンターキーを押す。

『あたしも』

貴方のことが。









(終わり)