高貴なる生徒会長は、今日も副会長を慈しむ  ~学園の貴公子と没落貴族のすれ違い救済ライフ~


 帝都から遠く離れた、北方の断崖にそびえる特別監獄『アイアン・メイデン』。
 そこは、かつて法務大臣ベルツ自身が、法の正義を汚す、救いようのない大逆罪人のために設計し、その構造の隅々に至るまで自らの法哲理を反映させた、冷徹な石の檻であった。

 鉄格子の向こうに広がるのは、一年中変わることのない、重く垂れ込めた灰色の空だ。

「……あり得ん。こんなことは、法理的に認められんぞ……!」

 独房の硬い寝台の上で、ベルツは震える指先で、眼前に突きつけられた判決文を読み返していた。
 彼を断罪したのは、他ならぬ彼自身がかつて起草し、帝国議会を通した『国家転覆予備罪に関する特別措置法』、および『魔導資産不当流用禁止令』であった。

 セオドリックを陥れるために用意した魔導回路破壊装置。
 レイモンドを脅し、過激派を動かした資金の流れ。
 それら全てが、レイモンドが命懸けで転送した『ログ』という名の冷酷な数式によって証明された。

 皮肉なことに、ベルツがこれまで完璧な統治のために磨き上げてきた法律の網は、一箇所の綻びを見せた途端、その考案者であるベルツ自身を絡め取り、逃げ場を失わせる迷宮へと変貌したのだ。