激しい衝撃が走り、視界が揺れた。角から飛び出してきた女子生徒と激突し、彼女が抱えていた看板が派手な音を立てて床に散らばる。
「……っ、すまない」
レイモンドは反射的に手を差し伸べようとした。だが、相手の女子生徒は彼の手を取るどころか、悲鳴に近い息を漏らして身をすくめた。
「……ひっ」
彼女の瞳に映っているのは、優雅な副会長などではなかった。それは、蒼白な顔で亡霊のような眼差しをした、一人の男の成れ果てだった。
「ふ、副会長……? あの、大丈夫ですか? その……すごい顔をしていて……」
差し伸べた右手の痣が、陽光の下で醜く晒された。
彼女の怯えるような視線がその傷跡に触れた瞬間、レイモンドは自分の正体が暴かれたような恐怖に襲われ、咄嗟に手を引っ込めた。
「……何でもない」
謝罪もそこそこに、這うようにしてその場を逃げ出した。
