高貴なる生徒会長は、今日も副会長を慈しむ  ~学園の貴公子と没落貴族のすれ違い救済ライフ~



 地下礼拝堂に響いたのは、レイモンドの悲痛な叫びではなく、セオドリックの最高潮に達した自己満足の咆哮だった。

「さらばだ、僕の影(副会長としての不遇な日々)よ!」

 セオドリックは満面の笑みで、聖剣を振り下ろした――といっても、騎士の叙任式のごとく、レイモンドの肩を優しく叩くつもりで。
 しかし、極限状態のレイモンドが恐怖でガクガクと膝をついたため、振り下ろされた剣の(ひら)が、偶然にも彼の後頭部を、羽毛のような優しさ――を装った絶妙な衝撃でパコォン、と直撃した。

「な……っ」
 レイモンドは、親友が何かを叫びながら、物理的に引導を渡してきたと確信し、あまりのショックと脳への振動で、そのまま白目を剥いて卒倒した。

「ああっ!?  レイ!  感動のあまり気絶してしまったのかい!?」

 セオドリックは慌てて剣を投げ捨て、崩れ落ちるレイモンドをドラマチックに抱きとめた。

「ああ、なんて健気なんだ……! 没落した家門を背負い、たった一人で戦ってきた君に、僕との共同統治というあまりに重い栄誉を与えてしまったからね。……無理もない、君の心臓は喜びで爆発してしまったんだね」