レイモンドは「自分を必要としてくれる場所」に弱い。その不器用な優しさを、セオドリックは深く愛していた。
「お願いだ、レイ。僕の顔を立てると思って。君だけが頼りなんだ」
「……お前は本当に調子がいいな」
不満を露わにしながらも、最終的には承諾したレイモンドに、セドリックは内心でガッツポーズを決める。
「ありがとう、レイ! 助かるよ。……あ、そうだ。その日は少し冷えるみたいだから、生徒会室の暖炉、多めに薪をくべておくね。君、寒がりだろう?」
レイモンドは「……余計な世話だ」と吐き捨てて去っていく。
だが、その足取りにいつもの刺々しさがないのを、セオドリックは見逃さなかった。
(よし、上手くいっている)
レイモンドの凄さをみんなに再確認してもらい、その上で、最高のケーキで誕生日を祝う。本人は怒るだろうが、最終的には「やってよかった」と心を通わせ合えるはずだ。
どこまでもポジティブな確信。
それが、レイモンドにとってどれだけ迷惑なことか――セオドリックがそれを知る術は、今のところどこにもなかった。
