セオドリックの脳内で、未来の景色が塗り替えられていく。
これから歩む、公爵家としての責務、帝国の中枢での戦い……。その過酷な日々のどこを見渡しても、隣にはこの「影」が必要だった。いや、この影がなければ、自分はいつか光の中に霧散してしまうだろう。
(君は僕を離さないと言った。ならば、僕も君を離さない。……たとえ君が、いつかその義務感に疲れ、逃げ出したくなったとしてもね)
セオドリックは、今日街で見かけた魔導写真機を思い出していた。一瞬を、永遠に定着させる魔法。自分もまた、この「僕たちだけの静かな時間」を永遠に固定し、誰にも踏み込ませない場所に閉じ込めてしまいたい。
「レイ。……これからもずっと、僕の隣で支えてほしい。……僕には君が必要なんだ。他の誰でもなく、君がね」
「……言われなくとも。お前を制御できる奴なんて、この世に俺くらいしかいないからな」
呆れたように笑い、重ねられた手を無造作に握り返すレイモンド。
その漆黒の瞳に宿る、歪なまでの責任感。セオドリックはそれを見て、今日一番の微笑みを浮かべた。
「ああ。……ありがとう。これからもよろしく頼むよ、レイ」
夜の帳に包まれた馬車の中、二人の影は一つに重なり合い、街の灯りの中へと消えていった。
一人はそれを『不器用な友情』と信じ、一人はそれを『永遠の所有』と決意して。
To be continued.
