高貴なる生徒会長は、今日も副会長を慈しむ  ~学園の貴公子と没落貴族のすれ違い救済ライフ~


 セオドリックは、一点の曇りもない、無邪気な笑みを浮かべた。
 それは、友の健康を心から願う、至極真っ当で、最高に自分勝手な親切心の結晶だった。

「…………っ、お前、馬鹿か! 何を考えてるんだ!!」

 数秒の沈黙の後、レイモンドの絶叫がラボに響き渡った。

「誰が仕事中に強制転移――しかも、お前のベッドに運ばれたいなんて言った! そもそも回路の無駄遣いだ! 今すぐ消せ、その呪いみたいな術式を!」
「呪いだなんて心外だな。これは僕の愛着(アイデンティティ)の証明――絶対に消さないよ」
「…… このッ、自己中宰相候補!」

 激昂してセオドリックの胸ぐらを掴もうとするレイモンド。
 だが、セオドリックはそれを軽やかにかわし、まるでダンスでも踊るかのように優雅な動作で、再びレイモンドの肩に手を置いた。

「ははっ、元気になったね、レイ。やはり、君と僕が力を合わせれば、未来は明るい」
「……話を聞け!」

 朝日が差し込むラボで、怒りに天を突くレイモンドと、それを見て満足げに微笑むセオドリック。
 嵐のようなストライキの前日譚は、こうして一旦の幕を閉じた。


To be continued.