高貴なる生徒会長は、今日も副会長を慈しむ  ~学園の貴公子と没落貴族のすれ違い救済ライフ~


「……あ、そうだ。レイ、最後にもう一つ。君への感謝の印に、僕の方でも少しだけ術式を『最適化』しておいたんだ」

 セオドリックは、弾んだ声で付け加えた。その表情は、愛する友人に最高のサプライズを成功させた子供のように、純粋な輝きに満ちている。

「最適化……? おい、余計なことをするなと言っただろう。どこを(いじ)った」

 レイモンドは嫌な予感に背筋を凍らせ、慌てて魔導核の深層回路をスキャンした。
 そこには、昨夜までは存在しなかった、見慣れない金色の術式が緻密(ちみつ)に組み込まれていた。それも、防御結界とは全く無関係な、非常に高度な『空間転送』の術式だった。

「君は集中すると食事も睡眠も忘れるだろう? だから、この魔導具が君の魔力波長を常に監視し、君のバイタルが一定以下になったら自動で発動するようにしておいた。……即座に僕の自室のベッドへ、君を転送する仕組みだ」
「……は??」

 レイモンドの思考が停止した。
 何を言っているんだ、この男は。

「さらに、僕の魔力と同期させてあるから、君が倒れそうになると僕のデバイスに通知が来る。……これで、僕がいつでも君を抱き留めに行ける。……どうだい、レイ? これで君は、安心して僕のために、心ゆくまで仕事ができるだろう?」