高貴なる生徒会長は、今日も副会長を慈しむ  ~学園の貴公子と没落貴族のすれ違い救済ライフ~



 ――数日後。
 ラボの中央、円形の実験台には、セオドリックが持ち込んだ設計図を元に急造された、魔導核の試作機が置かれていた。
 レイモンドは、深夜の静寂の中で幾度も計算を重ね、セオドリックの無茶な理想を、かろうじて現実的な数式へと翻訳し終えていた。

「いいか、セオドリック。俺が第一層の展開を合図したら、魔力を流し込め。ただし、お前の出力は高すぎる。蛇口を全開にするなよ。……俺の術式を信じて、少しずつ、糸を引くようにだ」

 レイモンドは、ペンを杖に持ち替え、実験台の縁を固く握りしめた。
 その顔は、極度の集中と、ある種の興奮に上気している。

「分かっているよ。君の指揮(リード)に従うのは、僕にとって最高の(よろこ)びだからね」

 セオドリックが、魔導核にそっと手をかざした。
 彼が指先に意識を向けた瞬間、ラボの空気が震えた。次期宰相として研鑽を積んできた、公爵家嫡男の圧倒的な魔力量。それは、不用意に解放すれば周囲の物質を物理的に押し潰すほどの圧力を持っていた。

「……展開!」

 レイモンドの鋭い声。
 青白い光が、魔導核から幾何学(きかがく)模様を描いて広がっていく。
 セオドリックは、その光の道筋(パス)へ、慎重に、しかし力強く魔力を流し込んだ。

 その瞬間だった。
 二人の間に、目に見えない繋がりが生じた。