セオドリックの善意は、いつだって自分勝手で、傲慢で、こちらの事情などお構いなしだ。
この男から受けた仕打ちを思い出すだけで、眩暈がする。
けれど、没落して以来、自分を案じてくれる者はいなかった。
「……勝手なことを。俺は、仕事をしていないと自分が何者か分からなくなるんだ」
「なら、僕の隣で仕事をし続けられるように、自分を大切にする術を覚えてくれ。……それが、君の次の仕事だよ」
セオドリックは、レイモンドの肩に掛かっていた毛布を直し、悪戯っぽく笑った。
「さあ、お茶を飲み終えたら、もう少しだけ休もう。今日は僕も休む。君が次に起きるまで、僕は一歩もここを動かない」
「……ふざけるな。……ああ、もういい。好きにしろ」
レイモンドは深く溜息をつき、ソファーに身体を預けた。
セオドリックという太陽は、やはりどうしようもなく眩しくて、毒が強い。
だが、その熱に浮かされながら微睡む時間は、認めがたいほど安らかだった。
窓の外では、生徒会メンバーたちが、遠巻きにその様子を見守っていた。
「見て。副会長、また寝ちゃったみたい」
「会長も、あんなに嬉しそうな顔して……。ほんと、仲良しなんだから」
白亜のアカデミーに、静かな時間が流れていく。
嵐のようなストライキは過ぎ去り、まさに今、新しい日常が訪れようとしていた。
To be continued.
