高貴なる生徒会長は、今日も副会長を慈しむ  ~学園の貴公子と没落貴族のすれ違い救済ライフ~


「な……なんだ、これは」
「見ての通り、封印だよ」

 セオドリックは、言葉を失うレイモンドの両肩を掴んだ。

「レイ。今日から一週間、君は生徒会に関わるすべての業務、およびこの部屋への立ち入りを禁ずる」
「何を、勝手な……! 予算案も、回路設計も、俺がいなきゃ――」
「すべて僕と、他のメンバーに分散した。君が心配している滞りは一切起きない。君がいなくとも円滑に回る、という事実を見せつけるのは少々忍びないが……すべては、君を休ませるためだ」

 セオドリックの瞳には、絶望的なまでの正義が満ちている。

「君は自由だ、レイ。これは生徒会長命令であり、公爵家の特権行使であり……何より、君の友人としての僕のわがままだ」
「ふざけるな! 仕事を奪われて、どこに自由があるというんだ!」
「外にあるのさ。冬の澄んだ空気、温かいココア、そして心ゆくまでの眠り……。さあ、レイ。今日から一週間、君はただの学生だ。僕が用意した最高の休暇スケジュールを楽しんでくるといい」

 セオドリックは、レイモンドの鞄から意見書を抜き取ると、それを読まずに脇に置いた。代わりに、一枚の羊皮紙をレイモンドの胸に押し付ける。

「まずは図書館に行くといい。君のために特別席を用意しておいた。もちろん、勉強は禁止だ。読むのは娯楽小説か、旅行記だけ。……さあ、行ってらっしゃい。君が二度と、そんな酷い隈を作って僕の前に現れないことを願っているよ」
「……ッ、セオドリック、貴様……!」

 彼の怒号は、セオドリックの輝くような微笑みにかき消された。
 こうして、死よりも苦痛な強制休暇の幕が、切って落とされたのである。