「――というわけで、明日から一週間、副会長を無職にする」
レイモンドが資料室へ席を外したわずか数分の隙を突き、セオドリックは生徒会室の中央で、残されたメンバーたちに有無を言わせぬ声で告げた。
室内に凍りついたような沈黙が流れ、書記の令嬢が、持っていた羊皮紙の束を床に散らす。
「か、会長……無職とは穏やかではありません。副会長がいなくなったら、この生徒会の事務処理能力は八割減……いえ、壊滅します!」
「分かっている。だからこそ、これは僕たち全員の試練なんだ」
セオドリックは、作戦机(普段は会議用テーブルと呼ばれているもの)を拳で軽く叩いた。
「彼はアシュクロフトの誇りにかけて、この戦場から決して退かない。ならば、戦場そのものを消滅させるしかない。……いいかい、まず事務局に回っている全書類を回収しろ。レイモンドの机に届く前に、すべて僕の執務室か、あるいは君たちの分担へ振り分けるんだ。一通の報告書、一枚の領収書さえ、彼の目に触れさせてはならない」
メンバーたちは、セオドリックの瞳に宿る狂気に圧倒されていた。
「次に、レイモンドが個人で保管している万年筆と予備の魔導インク。あれもすべて没収だ。彼の手を空にしろ。そうすれば、嫌でも休息するしかなくなるはずだ」
「で、でも……もし副会長が怒って、力ずくで仕事を取り戻しに来たら……」
「その時は、こう言うんだ。『会長から、副会長に負担をかけるなと厳命されています。僕たちが無能だと思われたくないんです』とね」
セオドリックは、春の陽光のような、けれど背筋を凍らせるほど純粋な微笑を浮かべた。
