(この時間を、大切にしたい。君が僕の隣で、誰に遠慮することもなく、ただ静かに本を読める場所を守りたいんだ)
セオドリックの中に芽生えたのは、独占欲というよりは、もっと素朴で切実な、守護の意志だった。
レイモンドが壊れてしまわないように。この気高く、少しばかり不器用な友人が、自分を追い詰めすぎて倒れてしまわないように。
「ねえ、レイ。……この場所、気に入っただろう?」
「……別に。静かなだけだろ」
「なら、決めたよ。今日からここは、僕たちの専用書庫にしよう。……そうすれば、君もここに来れば確実に休めるだろう?」
「……は? お前、また何をバカなことを――」
呆れたようなレイモンドの反応に、セオドリックは心から楽しげに笑った。
雨が止み、結界が解ければ、また騒がしい日常が戻ってくるだろう。だが、この小さな光の中にいる間だけは、自分たちはただの友人でいられる。
(また、ここに来よう。僕が君の安らぎを、必ず守ってみせるからね)
セオドリックは、レイモンドと同じリズムでゆっくりと古書のページをめくった。
その瞳には、嵐が過ぎるのを惜しむような、穏やかで深い慈愛が宿っていた。
To be continued.
