琥珀色の雪解け

2026年、1月21日。
金沢の街に舞い落ちる雪は、かつて私が死を覚悟した辛い景色とは、まるで別物のようだった。
放課後の自動販売機。私は小銭を入れて、迷わずそのボタンを押す。
ガタン、と重たい音を立てて落ちてきたのは、見慣れたラベルの琥珀色の飲み物。「午後の紅茶」
キャップを開ける前に、私はその温かさを両手のひらに包み込む。
じんわりと熱が指先から伝わり、心の奥底にある古い記憶が呼び起こされる。
あれは、私の人生が一度終わり、そして始まった夜のこと。
名前も知らない二人の大人と一本の温かい紅茶。
あの日、雪の中で死ぬつもりだった少女が今、どうして冬の空を見上げているのか。
その物語を私は忘れない。