黒蛇様と契りの贄姫

 目も眩むような光の柱の中。

 花緒は、神楽鈴が必死に花緒を助けようとしているのを感じ取った。場に溢れてしまった毒気。それを鈴が何とか抑え込もうとしている。

 贄姫として未熟な自分。贄姫として失格である自分。こんな自分でも、鈴は救おうとしてくれているのだ。守ろうとしてくれているのだ。

(――ありがとう。未熟でごめんなさい。あなたを持つにはふさわしくないかもしれないけれど、こんなところで負けない。だからどうか力を貸して)

 花緒は奮い立つ。贄として桜河と共に黒姫国を守る。そう一度は決意したのだ。こんなところで約束を反故にするわけにはいかない。負けるわけには、いかない!

 花緒は神楽鈴をぐっと握りしめる。

 花緒の気持ちに応えるように、鈴がシャランと鳴る。花緒が気持ちを立て直したのを感じ取ったのか、楽人たちが再度楽器を構える。

 笛の高らかな音を筝が彩り、太鼓が規則正しい拍を刻む。花緒は静かに舞い始める。

 ――シャラン、シャラシャラ。

 神楽鈴が涼やかに音を天に奏でる。場の毒気を浄化するため、鈴から妖力が広がっていく。そのたびに、花緒は自分の体力が根こそぎ持って行われる感覚がしていた。

 まるで自分の生命力が鈴に流れ込み、鈴が浄化の妖力に変えているかのように。

 花緒は歯を食いしばる。自分はどうなっても構わない。