白袴の妖狐が前に進み出る。恭しく頭を下げた。
「お待ちしておりました。桜河様。贄姫様」
「与太郎、蛇門は変わりないか。見てのとおり、今回の浄化の儀は贄と共に行う」
「承知いたしました。遂に桜河様も贄姫様をお選びになられたのですね。我ら妖狐一族、贄姫様のお神楽の楽人(がくじん)を務めさせていただきましょう」
桜河に与太郎と呼ばれた妖狐が、再度深々と頭を下げた。与太郎は老齢だが、周囲に付き従っている四人の妖狐は若者もおり、年齢は様々だ。皆、男性のようだった。
与太郎の口振りから察するに、彼らが神楽を舞う際に神楽囃子を演奏するのだろう。
花緒も一礼する。
「お初にお目にかかります。花緒と申します。本日はよろしくお願いいたします」
「贄姫様にとって初めての浄化の儀でございますね。我々、妖狐一族は、妖の王より代々この蛇門のある森一帯を守るお役目を賜った一族でございます。贄姫様のお神楽を支えられるよう、我々一同、力を尽くす所存でございます」
与太郎は挨拶を済ませると、蛇目池のほうを振り返った。片手を大池の中島へと伸ばした。
途端、中島に水柱が上がる。それが左右に真っ二つに割れると、どこに隠されていたのか立派な神楽殿が姿を現した。
(わ、あ……!)
中島に突如として現れた神楽殿は、朱塗りの柱と屋根だけで壁はない。ただ、開放的な高床式の舞台構造で、大池の中央に建てられているのが特徴的だった。
「お待ちしておりました。桜河様。贄姫様」
「与太郎、蛇門は変わりないか。見てのとおり、今回の浄化の儀は贄と共に行う」
「承知いたしました。遂に桜河様も贄姫様をお選びになられたのですね。我ら妖狐一族、贄姫様のお神楽の楽人(がくじん)を務めさせていただきましょう」
桜河に与太郎と呼ばれた妖狐が、再度深々と頭を下げた。与太郎は老齢だが、周囲に付き従っている四人の妖狐は若者もおり、年齢は様々だ。皆、男性のようだった。
与太郎の口振りから察するに、彼らが神楽を舞う際に神楽囃子を演奏するのだろう。
花緒も一礼する。
「お初にお目にかかります。花緒と申します。本日はよろしくお願いいたします」
「贄姫様にとって初めての浄化の儀でございますね。我々、妖狐一族は、妖の王より代々この蛇門のある森一帯を守るお役目を賜った一族でございます。贄姫様のお神楽を支えられるよう、我々一同、力を尽くす所存でございます」
与太郎は挨拶を済ませると、蛇目池のほうを振り返った。片手を大池の中島へと伸ばした。
途端、中島に水柱が上がる。それが左右に真っ二つに割れると、どこに隠されていたのか立派な神楽殿が姿を現した。
(わ、あ……!)
中島に突如として現れた神楽殿は、朱塗りの柱と屋根だけで壁はない。ただ、開放的な高床式の舞台構造で、大池の中央に建てられているのが特徴的だった。
