桜河と花緒は連れ立って麓の町に繰り出した。
花緒にとって町へやって来るのは二度目だ。桜河の少し後ろを歩きながら緩やかな坂を下る。やがて少し開けた広場に出た。どうやら市場が開かれているようだ。
農家の女たちが店先に籠を並べている。野菜や茶葉が山のように盛られていた。その隣には魚屋があり、桶の中で銀色の小魚を泳がせている。遠くからは商人の引く荷車の軋む音が聴こえ、縁台に座って世間話に花を咲かせる老人たちの声や、町娘たちの笑い声や子どもたちの遊びまわる声で賑わっている。
市場の活気に満ちた様子に、笠を深く被った桜河の口もとが微笑んでいた。
(桜河様、とても嬉しそう)
彼が体を呈して守っている平和。この光景は彼にとって宝物のように大切なのだろう。
(今日、彼と一緒にここに来られてよかった……)
彼の守りたいもの。その気持ちを共有できた気がして、花緒は密かに誇らしくなる。
桜河が機嫌の良い様子で振り向く。
「花緒。何か見たいものはあるか?」
「見たいもの……」
「……すまない。俺は山吹と違ってあまり誰かと街で遊び歩いた経験がないから、こういったときにどのような店に行くのが良いのかわからない。だから、おまえがどんなものを好むのか、何をするのが楽しいのか知りたい。おまえのことを教えてくれ」
「え、え、ええと……!」
花緒にとって町へやって来るのは二度目だ。桜河の少し後ろを歩きながら緩やかな坂を下る。やがて少し開けた広場に出た。どうやら市場が開かれているようだ。
農家の女たちが店先に籠を並べている。野菜や茶葉が山のように盛られていた。その隣には魚屋があり、桶の中で銀色の小魚を泳がせている。遠くからは商人の引く荷車の軋む音が聴こえ、縁台に座って世間話に花を咲かせる老人たちの声や、町娘たちの笑い声や子どもたちの遊びまわる声で賑わっている。
市場の活気に満ちた様子に、笠を深く被った桜河の口もとが微笑んでいた。
(桜河様、とても嬉しそう)
彼が体を呈して守っている平和。この光景は彼にとって宝物のように大切なのだろう。
(今日、彼と一緒にここに来られてよかった……)
彼の守りたいもの。その気持ちを共有できた気がして、花緒は密かに誇らしくなる。
桜河が機嫌の良い様子で振り向く。
「花緒。何か見たいものはあるか?」
「見たいもの……」
「……すまない。俺は山吹と違ってあまり誰かと街で遊び歩いた経験がないから、こういったときにどのような店に行くのが良いのかわからない。だから、おまえがどんなものを好むのか、何をするのが楽しいのか知りたい。おまえのことを教えてくれ」
「え、え、ええと……!」
