桜河から一言一句区切りながら発せられた言葉。ぎこちなさから、彼が勇気を振り絞って誘ってくれたのだとわかる。桜河のなんとも可愛らしい意外な姿。花緒は恥ずかしさよりも嬉しさのほうが勝り、顔を綻ばせる。
「お誘いいただけて嬉しいです! ぜひ、ご一緒させてください」
「そ、そうか……!」
ぱあ、とまるで花が咲いたように桜河が表情を明るくする。桜河は歴代最強の妖力を持つ妖の王で、皆から畏怖されているけれど――。その素の姿は、まるで少年のように真っ直ぐで素直なのかもしれない。彼の本当の姿をもっと知ってみたいと、花緒は感じ始めていた。彼を怖がっているだけでは、きっと贄姫として彼の力になれない。
花緒と桜河が見つめ合っていると、柱の陰から使用人の梅の笑い声が聞こえてくる。
「まあまあ。なんとも可愛らしい場面を見させていただきました。桜河様と花緒様は、これから町にお出かけになるのですね?」
「梅……」
「は、はい。桜河様とお出かけさせていただくのは初めてなので、楽しみです」
嬉しさから本音が出てしまう。浮かれていて恥ずかしい、と花緒は慌てて口元を覆う。窺うように隣の桜河を見上げると、彼もまた目元を赤くして視線を逸らしていた。梅がころころと可愛らしく笑う。
「あらあら。なんて初々しい。でしたら、この梅、張り切らせていただきます」
「梅さん……?」
「おめかしいたしましょう、花緒様! 腕が鳴りますわ!」
「わ、わっ!」
あれよあれよという間に、花緒は梅に引きずられていく。梅は鼻歌交じりだ。花緒は梅に腕を引かれるままに、自室へと連れて行かれる。
その様子を、残された桜河が呆気に取られて見つめていた。
「お誘いいただけて嬉しいです! ぜひ、ご一緒させてください」
「そ、そうか……!」
ぱあ、とまるで花が咲いたように桜河が表情を明るくする。桜河は歴代最強の妖力を持つ妖の王で、皆から畏怖されているけれど――。その素の姿は、まるで少年のように真っ直ぐで素直なのかもしれない。彼の本当の姿をもっと知ってみたいと、花緒は感じ始めていた。彼を怖がっているだけでは、きっと贄姫として彼の力になれない。
花緒と桜河が見つめ合っていると、柱の陰から使用人の梅の笑い声が聞こえてくる。
「まあまあ。なんとも可愛らしい場面を見させていただきました。桜河様と花緒様は、これから町にお出かけになるのですね?」
「梅……」
「は、はい。桜河様とお出かけさせていただくのは初めてなので、楽しみです」
嬉しさから本音が出てしまう。浮かれていて恥ずかしい、と花緒は慌てて口元を覆う。窺うように隣の桜河を見上げると、彼もまた目元を赤くして視線を逸らしていた。梅がころころと可愛らしく笑う。
「あらあら。なんて初々しい。でしたら、この梅、張り切らせていただきます」
「梅さん……?」
「おめかしいたしましょう、花緒様! 腕が鳴りますわ!」
「わ、わっ!」
あれよあれよという間に、花緒は梅に引きずられていく。梅は鼻歌交じりだ。花緒は梅に腕を引かれるままに、自室へと連れて行かれる。
その様子を、残された桜河が呆気に取られて見つめていた。
