黒蛇様と契りの贄姫

「そんな。自分に何かできないかと考えただけなのです。むしろ、自分で調べものをするくらいしかできず、力不足を痛感しておるところなのです」

「いや。俺は、どのような形であれ、やる気こそが上達の早道であるように考える。月並みな言葉になってしまうが、俺はおまえを応援している」

「あ、ありがとうございます……!」

 ――『おまえを応援している』。

 そう告げた時の桜河の笑顔が、まるで少年のように屈託がなかった。心からその気持ちが伝わってくる。花緒はまた、心臓が早鐘を打ってしまう。

(私は本当に、桜河様が好きなのだな……)

 この気持ちを大切にしよう。妖力操作の修行が、たとえどんなに過酷なものであっても、この気持ちを胸に頑張れるから。

 桜河がおもむろに立ち上がる。

「――では、行こう」

「え?」

「書庫の蔵へ行くのだろう? 鍵は俺が持っている。それに妖力操作の文献を探すにしても、おまえだけでは心許ない」

「はい……」