黒蛇様と契りの贄姫

 それからというもの――、花緒は、妖力の巡りを感じ取る特訓を重ねた。初日に感じ取れた桜の花びら。山吹の判断では、あれが花緒の妖力の素であるらしい。初日は一枚しか感じられなかった花びらだったが、おそらくそれらは花緒の中に桜吹雪のごとく無数にある。

 その流れを把握すれば妖力の巡りを感じ取れる。山吹から与えられた課題はそれだった。

(まずは自分の中にある妖力の流れを知る。自分が操作しなければならないものの正体がわからなければ、手のつけようがないものね)

 それでは、少しでも早く妖力の巡りを掴むにはどうしたらいいだろう。山吹との特訓以外にも、自分にできる方法はないだろうか。

 花緒は屋敷の廊下を歩きながら、ふと通りかかった一室の文机に置かれた本に目が留まる。

(本……。そうか。自分にもできるものがある!)