黒蛇様と契りの贄姫

「――で、おれが教える役になったってわけ!」

「山吹さんが……」

 翌日の昼下がり。花緒は山吹に連れられ、屋敷の近隣にある霊山の頂上にやって来ていた。

 標高の高い山らしく、眼下には山々の峰が連なっている。吹き上げた風に、花緒が身に着けている紺色の袴の裾が巻き上げられる。どこか空を駆けているのだろう。鳶の甲高い鳴き声が澄んだ空気を震わせた。

 昨日の招集の後、花緒を除いた男性陣で誰が花緒の妖力操作の修行を担当するのか話し合っていた。

 そこで抜擢されたのが山吹だ。山吹自身の妖力操作の技術の高さについては言わずもがな、強大な妖力を持て余していた幼少期の桜河もまた彼に師事していたから、その育成能力の高さを買われてだった。