黒蛇様と契りの贄姫

 桜河が嬉しそうにしていると自分も嬉しい。桜河が悲しいと自分も悲しい。桜河が笑みを自分に向けてくれるだけで胸が温かいものでいっぱいになる。

 この気持ちは――。

「こいやなぁ」

――え……。

「……恋⁉」

 突然、真後ろから掛けられた声に花緒は勢いよく振り返る。お蓮がひらひらと手を振っていた。まったく気配を感じなかった。

「お蓮さん! すみません、びっくりしてしまって……」

「かんにんなぁ。何度も声かけたんやけど、あんさん全然気づかんとけったいな顔して池眺めてはったから。なに見てるんやろ思てここまで来てもうたわ。鯉好きなん?」