黒蛇様と契りの贄姫

 花緒は思わず声を荒げた。

「町で毒気に侵されて苦しむ妖魔の姿を見ました。そして〝浄化の儀〟で救われた人々の笑顔も――私は忘れられません。私は、私の力で、苦しんでいる人たちを助けたい。常世に来た人々の魂も、妖魔も……そして、桜河様も!」

 桜河は黙ったまま、花緒を見つめる。

 その目に、諦めと、どうしようもないほどの愛しさが混じっていた。

 花緒は思いの丈を桜河にぶつける。

「聞いてください、桜河様。今の私ではまだ力不足です。鈴が暴走したのも、私の未熟さのせい。無理をする危うさもわかっています。けれど、可能性が少しでもあるなら、それに賭けたい。だって――私、常世の皆が大好きだから!」