黒蛇様と契りの贄姫

 与太郎が花緒に微笑みかける。

「浄化を行うにあたっては、贄姫様の精神が凪いでいる状態が好ましい。また、鈴の妖力は鈴がよく磨かれると研ぎ澄まされていく。ですから、大切に扱われた鈴には強大な力が宿るとされているのです。さきほどお蓮から窺いましたが、贄姫様は稽古後に毎回欠かさず鈴を磨かれていたようですね」

「いえ、お褒めいただけるようなものはなにも。ただ、まだまだ未熟な私ですから、せめて自分にできる方法をと鈴を磨いておっただけなのです」

 お蓮との舞の稽古後、花緒は日々の日課として鈴を磨いていた。その美しい輝きが曇らないように。神楽鈴との見えない絆を感じる。

 ――これからも鈴を大切にしよう。私と共に戦ってくれる半身なのだから。

 神楽鈴の涼やかな音が、まるで返事をするように花緒の耳に届いた気がした。