暫くして我に返った俺は、周りの視線にハッとした。
砂場で遊んでいた子どもたちも、散歩しているお爺さんもみんなこっちを見ている。
泣きじゃくった顔を赤らめて、多分今の俺は相当酷い顔をしていると思うと余計に居た堪れない。
「ちょ、蓮也。離してみんな見てるから」
ぽんぽんと蓮也の背中を叩いても離れる気配はない。
「蓮也ってば、おい」
もう一度言うと不服そうな声が聞こえたけれど、やっぱり離れてはくれない。
グーっと力を入れて離そうとすると余計に強く抱きしめられた。
「だから、みんな見てるって」
「関係ないよ。っていうか凌太は分かってないだろうから言うけど」
「なに」
「俺、めちゃめちゃ重いからね?」
ようやく離れてくれたと思ったら、怖いぐらいニコニコしている蓮也。
やばい、俺両想いの相手間違えたかもしんねぇ……。
やっと正面から右隣りに戻って来たと思うと「さっきの後輩、凌太先輩って呼んでたよね」とすごい剣幕で言ってきてもう怖い。
「まさかそれで怒ってた……とか?」
「その通り!ちょっと態度に出ちゃったけど、結果オーライだよねー」
これは想像以上に苦労するかもしれないと先が思いやられる。
でも、幸せなのには違いない。
「これからは学校でもイチャイチャできるじゃんね」
「いやそれはちょっと……」
「拒否権はないけどね」
俺の平穏な学校生活はもう諦めるしかないのかもしれない。井上、お前は頑張れよ……。
なんてそんなことよりも、ずっと気になっていることがあった。
「って言うか俺のこといつ気づいたんだよ」
須藤たちは、高校の入学式の時から蓮也は俺と話したがってたって言ってたけど、実際に話したのは二年になってからだ。
しかもセボンで俺から。一回目のセボンでは話してないし。
クラスだって同じだったのに、話しかけられた記憶もない。
「入学式に向かう道でさ、チャリを爆速で漕いでる男の子が俺の横通ったんだよね。なんか気になって見てたら、その子は本屋に寄り道してたんだよ」
確か入学式の日は、ちょうどくまライフ五巻の発売日だったな。懐かしい。
「その子が一直線にくまライフの新刊目がけて歩いて行ってさ、ふと顔を見たら初恋の子だったんだよね」
「同じ制服だし、汚れひとつないパリッパリの制服だったから新入生だって思って。爆速のチャリには追いつけなかったけど、学校で名前を探しているところを見つけてさ」
楽しそうに話す蓮也を見て、なんだか少し恥ずかしくなってきた。
そんな俺を気にも留めず蓮也は話を続ける。
「慌てて見に行ったら、違うクラスですごいガッカリしたんだけど、名前は知ることができたから」
「うん」
「それからずっと目で追ってたって感じかな」
なんか自分がそう言う対象になったことってないから、少し浮かれてしまう。
蓮也ほどのイケメンなら目で終われることなんて日常すぎて気にもならないだろうけど。
「セボンで声かけてくれたらよかっただろ」
「そんなことキモくてできないでしょ。それにめちゃめちゃ緊張してたんだから」
なんて言っておきながら、袋詰めをテキパキやってたけどな。
まぁ俺も気づいてたのに声かけなかったからある意味同罪だけど。
「だから二回目に声かけてくれた時はさ、マジで緊張した」
「俺なんてカタコトになったんだからな」
そう言うと、目を輝かせてこっちを見ている。
「あれ可愛かったよなー。ぬいぐるみ当たって嬉しそうなのもめちゃめちゃ可愛かった」
急に可愛いなんて言われて照れる。でも男に可愛いって喜んでいいのかちょっとわからなくて複雑だ。
でも蓮也が嬉しそうなので何も言わないでおく。
「それから凌太があ寄ってくれるようになってさ、一緒に公園で話したりできて俺もうそれだけで夢みたいだったから。それだけでいいと思ってたんだけど、調子に乗って泊まりに来ないかなんて言っちゃって」
「俺は嬉しかったけどな」
「そう言ってくれてよかった。いきなり泊まりに来いなんてやっちまったって思ってたから」
蓮也は頭をかきながら、当時のことを思い出しているみたいだ。ちょっと可愛いかもしれない。
「でも今こうやって恋人になれたんだから、もうなんでもいい。俺今めっちゃ幸せ」
そう言ってじーっと俺のことを見つめてくる。
「だから、ここ外なんだって」
「けちー」
そう言って拗ねている蓮也が面白くて、口角が上がる。
立ち上がって「帰ろう」と言うと「家まで送らせて」と言われた。
もちろん嬉しいので許可してしまったけど。
家に着くまで、ずーっと蓮也の俺に対する気持ちを聞いてもう正直お腹いっぱいだ。
でも俺の話をする蓮也はずっと笑っているので、悪くない。
「名残惜しいけど、帰るね」
「ん、送ってくれてありがと」
「ばいばい」
そう言って背中を向ける蓮也の左腕を引っ張って、振り向いた蓮也の唇に自分の唇をひっつける。
途端に恥ずかしくなって「早く行け」とジェスチャーで促してみるけど、そうはいかなくて。
俺の唇に、もう一度蓮也の唇が当たったと思ったら蓮也の背中が見えた。
両想いってすげぇ。
砂場で遊んでいた子どもたちも、散歩しているお爺さんもみんなこっちを見ている。
泣きじゃくった顔を赤らめて、多分今の俺は相当酷い顔をしていると思うと余計に居た堪れない。
「ちょ、蓮也。離してみんな見てるから」
ぽんぽんと蓮也の背中を叩いても離れる気配はない。
「蓮也ってば、おい」
もう一度言うと不服そうな声が聞こえたけれど、やっぱり離れてはくれない。
グーっと力を入れて離そうとすると余計に強く抱きしめられた。
「だから、みんな見てるって」
「関係ないよ。っていうか凌太は分かってないだろうから言うけど」
「なに」
「俺、めちゃめちゃ重いからね?」
ようやく離れてくれたと思ったら、怖いぐらいニコニコしている蓮也。
やばい、俺両想いの相手間違えたかもしんねぇ……。
やっと正面から右隣りに戻って来たと思うと「さっきの後輩、凌太先輩って呼んでたよね」とすごい剣幕で言ってきてもう怖い。
「まさかそれで怒ってた……とか?」
「その通り!ちょっと態度に出ちゃったけど、結果オーライだよねー」
これは想像以上に苦労するかもしれないと先が思いやられる。
でも、幸せなのには違いない。
「これからは学校でもイチャイチャできるじゃんね」
「いやそれはちょっと……」
「拒否権はないけどね」
俺の平穏な学校生活はもう諦めるしかないのかもしれない。井上、お前は頑張れよ……。
なんてそんなことよりも、ずっと気になっていることがあった。
「って言うか俺のこといつ気づいたんだよ」
須藤たちは、高校の入学式の時から蓮也は俺と話したがってたって言ってたけど、実際に話したのは二年になってからだ。
しかもセボンで俺から。一回目のセボンでは話してないし。
クラスだって同じだったのに、話しかけられた記憶もない。
「入学式に向かう道でさ、チャリを爆速で漕いでる男の子が俺の横通ったんだよね。なんか気になって見てたら、その子は本屋に寄り道してたんだよ」
確か入学式の日は、ちょうどくまライフ五巻の発売日だったな。懐かしい。
「その子が一直線にくまライフの新刊目がけて歩いて行ってさ、ふと顔を見たら初恋の子だったんだよね」
「同じ制服だし、汚れひとつないパリッパリの制服だったから新入生だって思って。爆速のチャリには追いつけなかったけど、学校で名前を探しているところを見つけてさ」
楽しそうに話す蓮也を見て、なんだか少し恥ずかしくなってきた。
そんな俺を気にも留めず蓮也は話を続ける。
「慌てて見に行ったら、違うクラスですごいガッカリしたんだけど、名前は知ることができたから」
「うん」
「それからずっと目で追ってたって感じかな」
なんか自分がそう言う対象になったことってないから、少し浮かれてしまう。
蓮也ほどのイケメンなら目で終われることなんて日常すぎて気にもならないだろうけど。
「セボンで声かけてくれたらよかっただろ」
「そんなことキモくてできないでしょ。それにめちゃめちゃ緊張してたんだから」
なんて言っておきながら、袋詰めをテキパキやってたけどな。
まぁ俺も気づいてたのに声かけなかったからある意味同罪だけど。
「だから二回目に声かけてくれた時はさ、マジで緊張した」
「俺なんてカタコトになったんだからな」
そう言うと、目を輝かせてこっちを見ている。
「あれ可愛かったよなー。ぬいぐるみ当たって嬉しそうなのもめちゃめちゃ可愛かった」
急に可愛いなんて言われて照れる。でも男に可愛いって喜んでいいのかちょっとわからなくて複雑だ。
でも蓮也が嬉しそうなので何も言わないでおく。
「それから凌太があ寄ってくれるようになってさ、一緒に公園で話したりできて俺もうそれだけで夢みたいだったから。それだけでいいと思ってたんだけど、調子に乗って泊まりに来ないかなんて言っちゃって」
「俺は嬉しかったけどな」
「そう言ってくれてよかった。いきなり泊まりに来いなんてやっちまったって思ってたから」
蓮也は頭をかきながら、当時のことを思い出しているみたいだ。ちょっと可愛いかもしれない。
「でも今こうやって恋人になれたんだから、もうなんでもいい。俺今めっちゃ幸せ」
そう言ってじーっと俺のことを見つめてくる。
「だから、ここ外なんだって」
「けちー」
そう言って拗ねている蓮也が面白くて、口角が上がる。
立ち上がって「帰ろう」と言うと「家まで送らせて」と言われた。
もちろん嬉しいので許可してしまったけど。
家に着くまで、ずーっと蓮也の俺に対する気持ちを聞いてもう正直お腹いっぱいだ。
でも俺の話をする蓮也はずっと笑っているので、悪くない。
「名残惜しいけど、帰るね」
「ん、送ってくれてありがと」
「ばいばい」
そう言って背中を向ける蓮也の左腕を引っ張って、振り向いた蓮也の唇に自分の唇をひっつける。
途端に恥ずかしくなって「早く行け」とジェスチャーで促してみるけど、そうはいかなくて。
俺の唇に、もう一度蓮也の唇が当たったと思ったら蓮也の背中が見えた。
両想いってすげぇ。
