罪な僕は君と幸せになっていいだろうか

あの日、僕は救われた気がした。
たった一言、彼の言葉が僕には響いた。

あの日あの場所で、僕の日々は変わり始めていたんだ。

***


蒼唯(あおい)様、今日の会食ですが夜に変更になったとのことです。会場は変わらず」

「わかった。報告ありがとう」

僕は鷹栖蒼唯(たかすあおい)、16歳の高校2年生。

僕の家は社会で成功したあの名家だ。
なぜこんなにも名家になったかっていうと、容姿に関係がある。
鷹栖という苗字は母方のものだ。
鷹栖家には特徴的な容姿を持った子が生まれる。
つやのある黒髪に黒曜石のように黒い瞳、白い肌と真っ赤な唇。
そう、まるで童話の白雪姫のような容姿。
裏では白雪姫一家なんて言われてる。

そんな鷹栖家に、僕は“罪”をもって生まれてきた。
それを証明するのが、この黄色の瞳。
僕はその罪を背負って一生を生きなきゃいけない。

父親にも弟にも嫌われて。
誰にも愛されない僕は、ついに“苦しい”と感じなくなってしまった。

今では僕はただ家のために利益を上げる、よくわからない存在。

「そういえば蒼唯様、今日は気になっていると言っていたカフェがすいているそうですよ。行ってみては?」

「本当!?」

いつもそばにいてくれる側近の彼は天王悠人(てんおうゆうと)という。
茶髪の髪ときれいな金色な瞳に、僕と並ぶくらいのきれいな顔立ちが特徴なんだ。
僕が生まれた時から側近としていてくれて、いわゆる幼馴染だ。
悠人は今28歳だから、12こも離れてるけどね。
僕の唯一の心の支えだ。

「この後は会食以外は予定はないよね?」

「はい、今のところは入っていません」

「じゃあ、行こうかな。準備して行ってくる」

僕は悠人にそう伝えて、すぐに準備を始めた。
数十分ほどで準備が終わり、カバンを持って出かける。
こういうプライベートな時間には悠人は着いてこないんだ。

今向かっているのは、ここらじゃ人気なカフェ「ルクス」だ。
前にそのお店の紅茶を買ったんだけど、すごく美味しかったんだ。
その後気に入ったからカフェに行こうと思ったけど、人気店だから席がなかなか空かなくて。

それに僕は普段予定が詰め詰めだから、なかなか行けないんだ。
だから、こういう日は珍しい。

10分くらい歩いて、カフェに着いた。
開いているのはふたり席が2つ。
今日は空いていて助かった。

カラン。

僕はドアを開けてカフェに入った。

「いらっしゃいませ。お好きな席に座ってください」

カウンターにいる女性が、僕にそう言ってくれる。
言われた通り、僕は適当な席に座る。
小さな丸いテーブルの席。
少し待っていると、さっきの女性ではない男の子が来てくれた。

「こちらがメニューになります」

そう言われた後、男の子と目が合う。

その時、ビリッと電気が走ったみたいな気がした。

キラキラとひかる金髪に真っ黒な瞳、とがった八重歯。
僕は知っている。
彼を知っている。
彼は同じ学校の特進クラスの、月海陽翔(つきうみひなと)くんだ。
そう、僕らの出会いはここだった。


この日この場所で、僕の時計は動き出した。