罪な僕は君と幸せになっていいだろうか

「ねえみんな聞いて!会長に彼氏ができたらしい!!」

そんな噂がまわったのは、旅行に行った後のことだった。
月海くんと旅行に行ったのを見ていた生徒がいたみたいで、あっという間に噂が広がってしまった。
もともと男好きの噂あったし、仕方ないよね。
それに、合宿で来ていた子達がいたみたいだし。

「鷹栖〜。なんか俺、鷹栖と付き合ってんのかって聞かれたんだけど。付き合ってないよな?」

「いや、なんでそれを僕に聞くの。付き合ってないじゃん」

「そうだよなー」

なにをそんなに考える必要があるのか。
というか、しっかり否定してもらわないと困るんだけど。
誤解を生んでさらに嫌な噂をたてられるかもしれないし。

「ちゃんと否定してるよね?」

「んーと……」

あれ?
その反応、もしかして。

「君、まさか彼氏だとか言ってないよね?」

「ダメだぞー月海くん」

「うわ!って、なんだ琉偉か…」

いつのまにか真後ろにいた琉偉に驚く。
いつからいたんだろう。
僕も気がついていなかった。

「蒼唯、月海くんってば否定も肯定もしないんだ。そのせいで本当に付き合ってるところまで発展してるんだぜ?いい迷惑だよな〜」

「…別に答える必要ないだろ」

ニヤニヤされるのが嫌なのか、月海くんは少し不機嫌だ。

「いい迷惑」

僕がそういうと、月海くんは明らかに落ち込んだ様子を見せた。
なんでそんなふうになるのか不思議だ。
だって僕達は友人じゃないか。
月海くんは僕のこと恋愛対象で見てないだろうし。

「あ!そうだ蒼唯。今度月海くんも連れて遊園地行こうよ」

「えっ、遊園地!?」

僕は“遊園地”という言葉に反応する。
この前、月海くんと一緒に行こうと話していたからだ。
嬉しい僕とは裏腹に、月海くんはやっぱり不満げだった。

「なんで卯月も一緒なわけ〜?俺は鷹栖とふたりでいいんだけど」

「それなら、別に月海くんは来なくても結構だよ?蒼唯とふたりっきりで行ってくるから」

なんだかこのふたり、見えない火花が散ってるような?
なんでこんなことに…。
いつのまにかこうなってるんだから。
できれば、ふたりには仲良くしてほしいんだけどな。

「3人じゃダメなのかな…?」

僕が聞くと、ふたりして大きなため息をついた。

「仕方ないか」

「そうだな。ここは仲良く3人だな」

それじゃあやっぱり不満なのだろう。
これでみんな仲良くなってくれるといいんだけど。

***

次の土曜日、僕達はプレオープンされている遊園地に来た。
琉偉のお父さんからチケットをもらったらしい。
プレオープンは招待された人しか来れないし、学校の人達にも見られなくていいよね。
って、僕は何を気にしてるんだ。

「晴れてよかったな〜!うっし!全部まわるぞー!!」

「暑苦しいなぁ月海くんは」

嫌味を言われてるみたいだったけど、月海くんは無視していた。
それから、月海くんは僕にパンフレットを見せてくる。

「鷹栖は何に乗りたい?」

「僕が決めていいの?」

「鷹栖のために来たようなもんだし!」

「そうそう。こればっかりは月海くんに賛成だな〜」

月海くんも琉偉もそう言ってくれるので、僕は乗りたいものを指差した。

「僕、あれ乗ってみたい」