罪な僕は君と幸せになっていいだろうか

「鷹栖、準備できた?」

そう言ってひょこっと顔をのぞかせる月海くん。

今日は待ちに待った旅行の日。
といっても、そこまで遠くに行くわけでもないんだけど。
でも、僕にとってはすごく貴重なことだ。
家から出ることはあまり許されなかったから、旅行に行くことなんてまずない。
だから、これは初めての旅行。
しかも月海くんとふたりきりなんて、嬉しくないわけがない。

「うん、できたよ。遅くなってごめんね」

「いや、いいよ。ちょうど俺も今終わったし!てか、楽しみすぎていろいろ荷物持っちゃったんだよな〜」

そう言って笑う彼にもドキッとした。
なんだか最近変だ。
こういう何気ない仕草とかにもドキッとしたりしてしまう。
この旅行、しっかり平常心を保って冷静でいないと。
そんなことを考えながら、家を出た。

***

「お待ちしておりました月海様。今ルームキーをお渡しします」

ついて早々に僕はあたりをキョロキョロと見回す。
和風な感じの雰囲気がとてもいい。

「鷹栖、ルームキー受け取ったから部屋行こ」

「あ、うん」

月海くんの後ろを歩いて部屋に行く。
部屋について、ドアをゆっくりと開ける。
部屋の中も和風な感じで雰囲気もいいし外もすごくきれいで、秋だから紅葉も見れてさらにいい。
それに、和式の部屋ってなんだか落ち着く。

「めちゃくちゃ雰囲気いいね。いい部屋あたったな」

「うん、そうだね」

僕達は荷物を置いて、適当に座った。

「この後は温泉行く?それとも、夕飯先の方がいい?」

「僕が決めてもいいの?」

「もちろん」

僕は少しの間考えた。

「じゃあ、温泉行ってから外を散歩したいな。夜景がきれいって言われてるみたいだし、気になるから。夕飯はその後でいい?」

「いいじゃん、そうしようぜ!じゃあ、さっそく温泉行こう」

僕はうなずいて持ってきたカバンから服やらを取り出した。
ふたりとも準備ができたところで、鍵を持って部屋を出る。
僕達の部屋は2階で、お風呂は3階だからエレベーターで上へ上がる。
それから、奥へ進むとすぐに風呂が見つかった。

「ここの露天風呂最高らしいよ。俺の友達情報」

そんなことを言って笑うから、すごく期待してしまう。
温泉自体初めてだから。
服を脱いで中に入り、体を洗い終えると湯の方に向かった。

月海くんはまだ体を洗っているみたいだったから、ひと足先に湯に浸かることに。
いくつも種類があってワクワクしてしまう。
子供みたいにはしゃいでるな、と思った。
入るとすぐに体の疲れがとれた。
数分すると、後ろから月海くんの声が聞こえた。

「入るのはやいね。俺、隣にいっていい?」

僕はコクっと頷いた。
隣に座る月海くんの距離にドキドキした。
服を着ていないから、あたる肩の体温が熱く感じる気がする。


なんか、すごく緊張してる。


そんな僕に気がついていないのか、お構いなしに触れてくる。

「てかさ、鷹栖ってめっちゃ肌白いよね。きれー」

ほほに触れる手がいつもより熱く感じて、クラクラしてゾクっとする。

「ん……」

驚いたのか自分の口から変な声が出た。

「あっ、ごめん」

あからさまに動揺しながら、月海くんは横を見た。
今、彼は何を思ったんだろうか。


顔を赤くする彼の心情は、恋愛初心者の僕には到底(とうてい)わかるものじゃなかった。