「そ、それにあったかい海もいいよね!ここの水温気に入ったから、しばらくこの辺りでバカンス満喫しよっかなー!」
「この時期サメ出るらしいぞ、ここら辺」
「……あはー」
サメはだめだ。
彼らはどうしたって話が通じない。
困ったなどうしよう。帰ることもできない、ここにとどまることもできない。
そんでもたもたしていると、いつか悪いヒトに捕まってわたしは研究対象に──
「うち来るか?」
「……、へ?」
「どこに行くにしてもその怪我じゃまともに泳げないだろ。助けた矢先に死なれたらこっちも目覚め悪いし、お前が安心して休める場所くらいなら作ってやるよ」
その後のことはまたあとで考えればいい、とアオさんは言う。どこか翳りのある声色だった。
人魚を初めて見たと言っていたはずだ。
それなのにアオさんはずっと、わたしよりも別のことに心を囚われているようだった。
ここにはない、何かに。
彼もまた置いてきたものがあるのかもしれない。
「==です。お世話になります」
似たもの同士の光にわたしは手をのばした。
