────最後の顔がずっと思い出せなかった。
孤児だった俺を拾ったジジイに代わって俺を育ててくれたのが、その殺された男だった。
いちばん下っ端で落ちこぼれだからと面倒な役を押し付けられたのに、あいつが俺の前で文句を言ったことは一度もなかった。
「──?」
名前を呼ばれた。
はっと我に返ると。
暗がりの奥で一人、そいつが横たわっていた。
その腹には深々とナイフが刺さっていて、傷口からは今もなおどくどくと鮮血が溢れている。
それはまるで、命の最後の名残が血となって流れているかのようだった。
男が苦しげに、赤に濡れた口を開く。
「お前、組長からの仕事を断ったろ。ガキを刺し殺せって言われてできなかったんだって? 代わりに俺が刺されちまったよ。見ろぉこの血の海。こりゃもうすぐ死ぬだろうな」
