ワンルーム、きみと小さな海をみる



患部を確認しているアオさんを見ているうちに、ようやく感情が追いついてきて。

わたしはとうとう、ぼろっと涙を零してしまった。




「よ、よ、よかったぁ゛~~~…うっ、ひぐ、死んだかと思っだぁ…!!」

「全然、死にかけではあるけどな……心配かけて悪かったよ」



真珠になってタイルの上に落ちていく涙を見つめながら、わたしは何度もうなずく。


アオさんが生きていた。

その事実は、わたしのぽっかりと空いた空洞をみるみるうちに満たしていく。


安堵と、そして戸惑いが。

ひとつの波にように心を行き来していた。




「アオさんの馬鹿!おおばかやろう!」


「はあ?」とアオさんは返してくるけれど、その声にいつもみたいな覇気はなかった。



「殺してないじゃん……誰も殺してなかったじゃん、なんで嘘ついたの……」




「……殺せって言われた。敵対してる、組んとこのガキを……まだ小学生だったよ。できるわけなかった。でも、できていたらあいつが、殺されることもなかった……そんなの、俺が殺したも同然だろ」



あいつも俺のことを恨んでんだろうな、って。

どんな顔をしてたのか思い出せないけど、きっと憎しみと苦痛に歪んでた、って。



アオさんは自然と、
応急処置をしていた手を止めていた。







「だめ。死なせない」


わたしはアオさんの傷口を手で押さえた────