「……殺したの?」
「ああ、これで心臓を一発よ」
男が自信満々にかざしたのは黒くて長い物体だった。
わたしには、それが何なのかよくわからなかった。
黒い棒。心臓。アオさんを殺した物。
それ以上の情報は頭に入ってこなかった。
「あんた、──のことをどこまで知ってる?」
「……ヒトを殺したってことは聞いた。それでこの町まで逃げてきたってことも」
「人を殺しただぁ?」
男が馬鹿にするように笑う。
それは瞬く間に伝染して、浴室中が嫌な笑いに包まれた。
「あの甘ったれにそんなことできるわけないだろ!あんた、全然信用されてないんだな。冥途の土産に教えてやるよ。あいつが一体何をしたのか!」
興奮していた男はわたしの変わらない表情を見て少し冷静になったのか、「まあ、もったいぶる必要もねえか」と近くにあった椅子に腰かけた。
生殺与奪の権を握っているからか、それともすでにアオさんを始末したからか。
男たちにはどことなく余裕と気のゆるみがあった。
「あいつはな、親父から直々に言いつけられた仕事でへマやらかしたんだ。仕事でミスすりゃ自分で責任を取るのは、社会人として当然のことだろ?」
