ワンルーム、きみと小さな海をみる





夢だ。

あれはきっと夢だったんだ。


だって、わたし、キスされたんだが?

アオさんにキスされたんだが??




「おい、起きろねぼすけ人魚」

「んうぅ……ぶくぶく、」



バスタブの中で熟睡していたわたしを誰かが持ち上げた。

水中からざばぁっと引っ張り出され、朝日のまぶしさに目をしばたかせる。




「おはよう」



昨晩ぶりに顔を合わせたアオさんはあまりにも普通だった。

そういえば寝ぼけてるだけって言ってたな。

だったら寝ぼけてただけなんだろう。




──昨日キスしてくれたよね?

──わたしのこと好きになった?



聞きたいことは山ほどあったけれど。

まあいいかってわたしは思った。


綺麗なそのあおいろの瞳に、間抜けな顔をした自分が映っていたから。




「おはよ」



わたしはそれだけでしあわせだった。