「……寝起きの人間に難しい話すんなよ」 「ごめん」 アオさんは少し考え込むように目を逸らす。 カーテンの隙間から月光が細く差し込んで、揺れる光がぼんやりと床に落ちていた。 「…………はあ、」 ちいさなため息。 「今からすることは寝ぼけてるだけだから」 その言葉の意味を理解する前に、首の後ろにまわった手がわたしを引き寄せる。 間もなく。 空気の震えだけを残して、唇が触れた。 強くも、長くもない。 ただ存在を確かめるような、静かなキスだった。