ワンルーム、きみと小さな海をみる





ぱちり、目を覚ます。

水中から顔を出したわたしは壁にかかってある時計を見た。


真夜中だ。アオさんも隣の部屋で寝ているだろう。


今日はいろいろあった。

ヒトの子とも、……アオさんとも。




──同じ組の人間を殺して、ここまで逃げてきた



昼間の言葉を思い出す。


同志を殺すことは海の中では大罪だった。

きっと外の世界でもそれは同じだろう。




「そっか」


わたしはバスタブの中で尾びれを抱える。




「そっか。アオさん、善人じゃなかったんだ……」


本人の口から告げられたそれは、思った以上にわたしにショックを与えた。


気を紛らわすためにぽつりぽつりと歌う。

いつもより音が外れていて、すぐにやめる。

歌いたくない気持ちになったことなんて今までなかったのに。


ため息をつき、尾びれに顔をうずめた。


ヒトの子が言っていたことも本当だったんだ。

それでも、わたしは……


と、そこまで考えたとき。



隣の部屋からうなされている声が聞こえた。

それは断続的に耳に届いて、わたしは滑り落ちるようにバスタブから下りた。


なんとか手を使い、ドアの前まで不自由な身体を引き摺っていく。

初日以外、ドアの外には出ていない。


わたしは深呼吸をしてドアノブを回した。