それを見ているうちに連想したんだろう。
「あー鯛くいてえな。お前食ったことある?」
「食ったことある。おいしいよね」
「雑食で助かったよ。じゃ、買ってくるから」
「やったー!アクアパッツァ食べたーい……って、」
さっきまでの話はなかったように。
アオさんがそのまま浴室を出ていこうとしたから、思わずその後ろ姿に声をかけてしまった。
「わたし、まだここにいていいの?」
「いたけりゃ気が済むまでいればいい。俺からお前を追い出すことはしないし、最初からそのつもりだったよ」
だからもうあんなことすんな、と。
それだけ言い残してアオさんは出ていってしまった。
と、思ったらすぐに引き返してきた。
「わかってるだろうけど濡れた手であちこち触るなよ。帰ってきたらお前が焼き魚になってるのだけは勘弁だからな。
触るならその辺のタオルで手拭いてからにしろ。
で、今さらだけどお前アレルギーとかある?」
ぽかんとしたわたしは、あはは!とおなかを抱えて笑った。
さっきまでの痛みも、不安も、まるで魔法のように一瞬で消え去っていた。
「わたしはあなたのそういうところを好きになったの!」
